札幌映画サークルの”薄口(うすくち)映画ファン 田口雄三の まったりシネマレビュー 第54回を公開しています

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会報”シネアスト” 10月号から
”薄口(うすくち)映画ファン 田口雄三の まったりシネマレビュー 第54回
【このコーナーでは、札幌映画サークルの会報“シネアスト”に掲載されている記事をピックアップして紹介しています。】


今月も、好評連載中の“薄口(うすくち)映画ファン 田口雄三の まったりシネマレビュー 第54回”をご紹介します。

* この記事は、札幌映画サークルの会報“シネアスト”2021年10月号(#579)から転載しました。



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“薄口(うすくち)映画ファン 田口雄三の まったりシネマレビュー 第54回”  『サマーフィルムにのって』
©2021「サマーフィルムにのって」製作委員会
2021年 日本 97分
監督:松本壮史
出演:伊藤万理華 金子大地 河合優実 ほか
う〜む。所謂 “キラキラしてない方”の青春映画は個人的に大好物だし、若いキャストはみんな頑張ってるし、何よりも本作は“映画についての映画”でもあるわけで、本来ならば「サイコー!」って言いたくなるタイプの作品だったはずなんですが…

まず気になったのは「未来」というものに対する扱いの軽さ。本作では“未来からきた”という設定の少年が登場するんですが、彼が割と序盤の段階で「主人公が将来成功した人生を送る」という事実をアッサリと明かしてしまうんです。これ、本当に巧くないなぁって思うんですよね。なぜならば、これによって主人公がその後どんな困難に直面しても「結局この子の人生って約束されているんでしょ?」くらいの気持ちにしかなれず、物語への興味が大きく削がれてしまったからなんですよ(笑) さらに問題なのは、本作が紛れもない“青春映画”であるということ。青春映画って登場人物が様々な経験を経ることで、彼らの将来の姿にまで想像を巡らすことができる、その“余白”も含めて楽しむものだと思うんですよね。しかし、本作は主人公の将来を早々にバラしてしまったことで、そういった青春映画特有の味わいまで大きく損なってしまったと思います。

 それ以上に問題に思えたのがラストの展開で…これをネタバレなしで書くのは非常に難しいんですが(笑)、あのラストで幸せになれるのは主人公と、その周辺のごく少数だけなんですよね。事情を知らないその他大勢の人からすれば、彼らが何故あのような行動を取るのかが理解できないと思うんです。自分と、自分に近いところにある世界しか目に入らない。これでは劇中で何度も主人公が不満を口にしていた “キラキラ青春映画”の世界観と何も変わらないですし、大切な時間を削って自分たちの作った映画を見に来てくれた観客をないがしろにする行動を“善きこと”として描くのは、 “映画についての映画”という観点から見ても非常にまずかったと思います。

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旦那:ってわけでさ。そんな話をあした映サのみんなとZOOMで話すんだよね!
奥さん:そ、そうなんだ。あんまり興奮しすぎないようにね。
旦那:うん…あ、ちょっとトイレ行ってくるね。なんかお腹の調子が。
奥さん:…ねぇ、ずいぶん長いけど大丈夫?
旦那:ふぐうううううううぅぅぅぅぅ
奥さん:え、え!?ちょっと、何!?どうしたの!?

虚血性大腸炎で翌日から1週間の緊急入院となった。やっぱ未来って予測できない。
(ZOOMに参加予定だった皆様、ご迷惑をおかけしました)
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