札幌映画サークルの“薄口映画ファン 田口雄三の まったりシネマレビュー” 第28回を公開しています

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“薄口映画ファン 田口雄三の まったりシネマレビュー” 第28回
【このコーナーでは、札幌映画サークルの会報“シネアスト”に掲載されている記事をピックアップして紹介しています。】


今月は、好評連載中の田口雄三さんの“まったりシネマレビュー 第28回”をご紹介します。

* この記事は、札幌映画サークルの会報“シネアスト”2019年6月号(#551)から転載しました。



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(C) Marvel Studios 2019


『アベンジャーズ/エンドゲーム』

2019年 アメリカ 181分
監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
出演:ロバート・ダウニー・Jr.、クリス・エヴァンス、クリス・ヘムズワース、他


アベンジャーズ、完結。
11年間・22作品に及ぶ壮大な物語が幕を閉じた。
究極のヒーロー大集合映画というだけで盛り上がることは必至であるのだが、それ以上に感動したのは本作が単純な娯楽作として終わらず、最後の最後まで“語るべき物語”を語ってくれたということだ。

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(C) Marvel Studios 2019


前作でサノスが示した“力の論理”が画期的だったのは、全人類の半数を滅ぼすという、一見暴虐極まりない行為に対して(強引ながらも)筋の通った論理を与えた点にあった。
しかし、強大な力を持った個人の独断により多様な価値観が議論の間もなく押し潰されてしまうのだ。
“現状維持”という消極的な未来にしがみつき、可能性という名の希望を封殺する。
そこに真の正義はあるといえるのだろうか。

 
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(C) Marvel Studios 2019


そして本作は、そんな力の論理を真逆の論理をもって真っ向から否定してみせる。
それこそが、MCUが1作品ごと着実に積み上げてきた“多様性”という名の正義なのだ。
本作の最終盤、あらゆる人種、性別、国籍のヒーローたちが一堂に会し、共通の目的を達しようとする一連の流れこそが、多様性がもたらす無限の可能性の象徴であり、MCUが11年という長い時間をかけて創りあげた“正義”の姿そのものなのである。
そしてこの瞬間に涙を禁じ得ないのは、そこに我々一人ひとりが生きてきた現実の11年の物語が重なるからに他ならない。
誰もが様々なものを得、失ってきた11年。
本作がもたらす感動は、そんな我々一人ひとりの11年間の物語をも内包しているからこその感動なのだ。
どんな人にも、語るべき物語がある。

我々一人ひとりが皆、語るべき物語の主人公なのだから・・・。

多様な価値観があるからこそ、この世界には、無限の可能性が広がっている。
そんなメッセージと共に背中を強く押してくれる圧巻の超大作であった。

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(C) Marvel Studios 2019


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田口:「ってわけでさ。全ての人の人生こそが“語るべき物語”ってことなんだよね〜!」

奥さん:「そ、そうなんだ(笑) なんだかよくわかんないけど凄いってことね・・・ところで、雄三くんは11年前何やってたの?」

田口:「じゅ、11年前? さ、さぁ? そんな昔のこと覚えてないよ〜(笑)」


11年前は無職のプー太郎だったなんて物語、いくら奥さんでも語りたくない。




【Marvel Cinematic Universe】
マーベル・コミックによって出版されたコミックのキャラクターに基づいて、マーベル・スタジオ製作のスーパーヒーロー映画作品が共有する架空の世界、及び作品群の総称

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