札幌映画サークルの“薄口映画ファン 田口雄三の まったりシネマレビュー” 第31回を公開しています

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“薄口映画ファン 田口雄三の まったりシネマレビュー” 第31回
【このコーナーでは、札幌映画サークルの会報“シネアスト”に掲載されている記事をピックアップして紹介しています。】


今月は、好評連載中の田口雄三さんの“薄口映画ファン 田口雄三の まったりシネマレビュー”をご紹介します。

* この記事は、札幌映画サークルの会報“シネアスト”2019年9月号(#554)から転載しました。



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“第31回 映画が観られない! その3”
会社の先輩に飲みに誘われた。


係長(先輩):「田口君、実はさぁ」

平社員(田口):「何ですか、改まって」

係長:「会社、辞めようと思ってるんだ」

平社員:「えっ!? ちょっと待ってください、ついこないだ“これからも一緒に頑張ろう”って肩を組みながらお話したばかりじゃないですか。どうしたんですか一体」

係長:「知り合いが新しく会社立ち上げることになってね、WEBの担当者がどうしても必要なんだってさ。俺もここいらで新しい仕事始めてみるのも良いかなってさ」


まずいことになった。先輩が抜けたことで発生する負担は間違いなく直属の部下であるぼくに降りかかってくる。残業が増えて自由時間が削られてしまうことは、何かと忙しい社会人の映画オタクにとっては死活問題である。何とかして先輩の気持ちを変えねばならない。


年下の上司:「そうですか、田口さんにもお話されたんですね」

平社員(田口):「何とか引き留められませんかねぇ。係長抜きじゃ仕事回せませんよ」

年下の上司:「そうですね、こんど、みんなで話し合いましょう」


その数日後


平社員(田口):「係長、やっぱり辞めるつもりなんですか?」

係長(先輩):「いや、まだ悩んではいるんだけどね」

平社員:「係長が辞めたら寂しいですよ。うちの会社には係長が必要です」

係長:「ありがとう、そう言ってもらえて嬉しいよ」

平社員:「やっぱり、係長には辞めてほしくないです。会社の人みんながそう思ってるはずです。だから・・・」

年下の上司:「いや、ぼくはそうは思わないですね」

平社員:「・・・は?」

年下の上司:「係長の人生です。係長のやりたいようにやってみるべきです。きっと会社のみんなもそう言って応援してくれるはずです」

係長:「・・・そう、かな?」

年下の上司:「そうです。ぼくらのせいで係長に後悔してほしくないですから・・・そうですよね、田口さん」

平社員:「・・・」


翌月から、映画が観られなくなった。

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