札幌映画サークルの“田口雄三 まったりシネマレビュー” / “『女になる』、『カランコエの花』感想アンケート”を公開しています

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“田口雄三 まったりシネマレビュー” / “『女になる』、『カランコエの花』感想アンケート”
【このコーナーでは、札幌映画サークルの会報“シネアスト”に掲載されている記事をピックアップして紹介しています。】


今月も、先月・先々月に引き続き、田口雄三さんの連載“まったりシネマレビュー”と9月16日に開催(SCC協力上映会)した『女になる』と『カランコエの花』をご覧になった方々から寄せられた感想アンケートの2本をご紹介します。

* この記事は、札幌映画サークルの会報“シネアスト”2018年10月号(#543)から転載しました。

“薄口映画ファン 田口雄三のまったりシネマレビュー”
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(C) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved



第21回:『ザ・プレデター』

2018年 アメリカ 107分
監督:シェーン・ブラック
出演:ボイド・ホルブルック、トレバンテ・ローズ、ジェイコブ・トレンブレイ、キーガン=マイケル・キー、他


“B級感”よいう言葉がある。
チープな仕上がりでも独自の魅力を持った“愛すべき映画”によく使われる言葉だ。
一般的にはなかなか理解されにくい感覚かもしれないが、映画オタクと呼ばれる人種は時として作品をそのような倒錯した楽しみ方で愛でることがあるのだ。
しかし、そんな愛すべき“B級感”という言葉も、使いどころを間違えると単に都合のいい言い訳となってしまう。

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(C) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved



本作で非常に残念だったのは、プレデターというキャラクターの魅力が根こそぎ奪われてしまっていた点だ。
高度な科学力を持ちながらも殺戮を好むという野蛮さ。
理解不能でアンバランスな行動原理こそが、プレデター最大の魅力であったと思う。
しかし、本作はそんな彼らのキャラクター性を根底から覆しており、他の異星人と大差のない凡庸な存在に描き替えてしまっている。

脚本の練りこみ不足も深刻で、ノリと勢いだけで書かれたような唐突で無茶な展開が延々と続き、イチイチ挙げていくとキリがない。
どんなにプレデターと人間が激しいバトルを繰り広げても、全く心が躍らないのだ。

しかし最も問題なのは、作り手がその辺りを見越して本作を製作している節があるということだ。
つまり“愛すべきB級映画として愛される”ことを目的に計算されている感があり、前述の不出来な脚本などもある確信犯的にやっているとしか思えないようなつくりになっているのだ。
事実、主人公とならず者軍団との間に築かれる男の友情などは、いかにもコアな映画ファンが好みそうな要素がふんだんに散りばめられており、それをもって本作を称賛する人々が一定数現れるのは容易に想像がつく。
しかし、“B級感”という言葉を免罪符に全てを許容してしまう姿勢が、果たして正しいと言えるのだろうか。

どんな魅力があるしせよ、“プレデターシリーズの新作”を期待して観に来たファンの気持ちを平然と裏切る行為は、やっぱり不誠実といわざるを得ない。
“不出来な映画=B級映画”だと思ったら大きな間違いで、不出来な映画は単につまらない映画でしかまいのだ。


そして、曲がりなりにも映画の感想を読んで戴いている立場にある者として、ダメなものはダメと正直に言う勇気を持たなくてはならないと思う。
“B級感”という言葉ひとつで本作のような映画が許容されてしまったら、内田裕也が「ロックンロール!」といって我々を煙にまいてしまうことと、何ら大差がないではないか。

“『女になる』、『カランコエの花』をご覧になった方々の感想アンケート”
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(C)風楽創作事務所


LGBTをテーマにしたドキュメンタリー『女になる』と『カランコエの花』の2本。

前者はゲストの未悠さんの自然体が人間対人間でつき合うという当たり前のことを、後者は当事者を思いやるがためにかえって傷つけてしまう難しさを私たちに気づかせてくれました。

ご覧になった方々から寄せられた“声”の一部です__。

『女になる』
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(C)風楽創作事務所



『女になる』

◇ LGBTの方々に限らずではあると思いますが、“性について”オープンに話し合ったり、考えたりすることが今の社会ではすごく難しい(不謹慎とされる)のだと思います。
未悠さんたちの勇気ある発信が、たくさんの人に届いてほしいと思います。
(20代)

◇ 13人に1人がLGBT。
普通に自分のまわりにいることを知り、理解してあげたい。
その為にはLGBTの知識を増していきます。
このような機会があるとよいですね。
(60代)

◇ 主人公の方が明るくて楽しそうで、すごく幸せな気持ちになる映画でした。
イジメられることなくあんなに素敵な友人たちに囲まれているのは、中川さんの人間性がすばらしいからだと思うのですが、少しうらやましく思いました。
偏見はないつもりだけれど、今までLGBTの方がまわりにいたことがないと感じている私は、打ち明けられる器ではなかったのだろうと思いました。
(30代)

◇ 障がい者問題も、少数者の幸せを考える時、その人をとりまく社会人たちとの関係が大きな励ましとなる。
ありのままの自分を人として高めることは、どの性を持っていても変わらない人間性が現れると思う。
人として魅力的な人は、どんな状況でも信頼が生まれる・・・そんなことを感じさせられた。
中川さんの幸せを願った映画でした。
トーク、面白かった。
(50代)

◇ (LGBTの方が)13人に1人いる、クラスに1人か2人はいる、という事実にショックを受けました。
LGBTについて差別、偏見は自分には無いと思っていましたが、やっぱりあったことに気づきました。
自分の子や孫たちがLGBTの当事者だったのなら、今も苦しく不安な日々を過ごしているかもしれないと思うと、自分の言動などに気をつけなければと思いました。
ちゃんと自分らしく生きられるように、サポートしてあげたいと・・・。
ちゃんとカミングアウト出来るようにと。
(60代)

『カランコエの花』
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(C)2018 中川組


◆ (LGBTを)知識として知っていて偏見はないつもりでしたが、身近な人や友人がそうだった時にどう接するかを考えさせられた。
障がいのある人への接し方も、差別、区別はしていなくても、考えすぎて不自然になってしまうかもしれない。
一人ひとり違う個々の人間として、良かれと思っていても、相手は苦痛に感じるかもしれない。
色々考えるよい機会になりました。
(40代)

◆ 知識がないために善意が相手を傷つけることが、とてもつらい映画でした。
子どもの笑顔を守ってあげたいと思いました。
(40代)

◆ 人間は色々な人がいて良いと思います。
近所に男性だけどいつもスカートをはいている人がいます。
私は足が太くてスカートをはきません。いつもズボンばかり。
彼は足がスマートで美しく、私は見るたびにうらやましい気持ちになります。
私は私、心のままで、すなおな人間でいたい。
(65歳)

◆ 自分の周辺にもLGBTの方がいるのですが、『カランコエの花』を見て、“LGBTだから差別する”はもちろん、“LGBTの方をかばう”もその方によっては嫌なこともあるということを知って、僕は“普通に接しよう”と思いました。
男性・女性の枠組みはありますが、それ以前に“人間”であるので、相手をひとりの人間として接していきたいと改めて思いました。
(16歳)

◆ 高等学校で養護教諭をしています。
約40分程の短い作品の中に、現代の子どもたち、そして大人たちの問題が本当によく描かれていました。
これから人生を生きていく上で、教師として子どもたちと接する上で、恋愛する上で・・・心にとまるシーンがたくさんありました。
私なりにできることを色々な場面でサポートしていきたいです。
(30代)

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