札幌映画サークルの“田口雄三 まったりシネマレビュー”を公開しています

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“田口雄三 まったりシネマレビュー”
【このコーナーでは、札幌映画サークルの会報“シネアスト”に掲載されている記事をピックアップして紹介しています。】


今月は、先月に引き続き、田口雄三さんの連載“まったりシネマレビュー”をご紹介します。

* この記事は、札幌映画サークルの会報“シネアスト”2018年9月号(#542)から転載しました。

“薄口映画ファン 田口雄三のまったりシネマレビュー”
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(C) 2018 Disney / Pixar. All Rights Reserved.



第20回:『インクレディブル・ファミリー』

2018年 アメリカ 118分
監督:ブラッド・バード
出演:くれいぐ・T・ネルソン(三浦友和)/ホリー・ハンター(黒木瞳)/サラ・ヴォーウェル(綾瀬はるか)


奥さん:「ルンバ買おうよ、ルンバ。平日の掃除はそれで何とかなるんじゃない?」

田口:「う〜ん。確かに便利だけど、ウチにはアンプやらスピーカーのケーブルやら障害物が多いからねぇ。それに、掃除くらいは自分の力でやらなきゃ。なんでもキカイの力に頼ってちゃダメだと思うんだ。


共働きの田口家は時として家事が疎かとなってしまうことがある。
特に深刻なもが掃除だ。
忙しさのあまり数日掃除をサボってしまったら、瞬く間にホコリと髪の毛が床に蓄積されてしまう。
そこで先日、家族会議が開かれたのだった。
人間はラクをしたがる生き物である。
便利なもの、手軽なものが現れるとすぐさまそれに飛びついてしまう。
文明の歴史とは“如何にラクに生きるか”の歴史と言っても過言ではない。
だが一方で、それは堕落の始まりともいえる。
自ら考え、行動することが人間には求められるのだ。


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(C) 2018 Disney / Pixar. All Rights Reserved.


そんなことがあったから、本作における敵側の主張には非常に共感できるものがあった。
テレビ画面を通じて観る者が洗脳される様は、自分の意見を持たずにメディアの情報を鵜呑みにしてしまう我々一般大衆と重なるし、スーパーヒーローの活躍を傍観してばかりで行動力を失った人々の姿は、便利な道具に頼り切り、ぬるま湯にひたり続ける現代人への強烈な皮肉といえるだろう。
文明の発達で便利な世の中にはなったけれども、その代償として我々は自ら考え、行動する力を失いかけてはいないだろうか?
それこそが、本作が投げかけるテーマの一つであると感じる。

ただ惜しむらくは、それに対する回答が劇中で明確に提示されなかった点だ。
せっかくの興味深い問題提起を活かしきれず、結局は普通のヒーロー映画の型にはまってしまったように感じる。
抜群に面白い作品ではあっただけに、終盤の展開次第でもう一段上のレベルに達することが出来たのではないかと思うと残念でならない。

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(C) 2018 Disney / Pixar. All Rights Reserved.


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友人宅にて。

友人:「こないだロボット掃除機買ってさぁ。すごいだろ。田口も買ったらいいんじゃない?」

田口:「いや、掃除くらいは自分でやらなきゃ。これはウチの方針でね。」

友人:「見ろよ。段差も自分で乗り越えるし、隅のホコリもちゃんと取ってくれるだろ?」

ロボット掃除機:「ウイーン・・・ウイーン・・・」

奥さん:「ねぇ、やっぱり凄いじゃん! うちも買おうよ!」

田口:「う、うむ・・・」


奥さんのお願いには逆らわない。
これがぼくの方針だ。

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