札幌映画サークルの“20世紀の伝説 チャップリンの全て”を公開しています

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“20世紀の伝説 チャップリンの全て”
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【このコーナーでは、札幌映画サークルの会報“シネアスト”に掲載されている記事をピックアップして紹介しています。今月は、4月〜5月にかけて開催する大型企画“喜劇の王様 チャップリン12本立!”の関連記事・・・楢部一視さんの“20世紀の伝説 チャップリンの全て 3つのキーワード”をご紹介します。】

* この記事は、札幌映画サークルの会報“シネアスト”2017年2月号(#523)から転載しました。

“20世紀の伝説 チャップリンの全て”
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< 4/16〜5/6 プラザ2・5 代表作10+短編7本 >


3つのキーワード    楢部一視


永遠の映画少年、なかでも大のチャップリン狂だった淀川長治さんは、いい映画を見たり素晴らしい絵画を見たあと、よくこう言っていました。

「よかったですね、素晴らしかったですね。おなかいっぱいになりましたね。」

ある日本航空の集まりでその話を伝えたら、元CAのイベントプロデューサーが“チャップリンを召し上がれ”という企画を立ててくれました。

淀川さん直伝のチャップリン映画の話に、札幌の料理家である星澤幸子さんのご馳走を加え、チャップリン映画を二重に楽しみ、おなかも二倍ふくらまそうというわけです。

そういえば淀川さん、“食べる”、“働く”、“愛する”ことはチャップリン映画のキーワード、とも云っていました。
「チャップリンくらい人間の幸福を求め掴んだ映画作家はいません」とも・・・。

チャップリン作品の衰えない味わいと、星澤さんの手料理に惹かれたのであろう予期しないほどたくさんの人が詰めかけました。集まった人の中には、チャップリンを単なるドタバタ喜劇の役者としか思っていなかった人がかなりいました。
「そんな噂を聞いていたので、チャップリン映画を見るのは初めてです」という人がいたのには驚きました。

映画が終わったあとでその人たちから発せられた言葉は、「チャップリンはすごい芸術家なんですね」とか「渋い実直そうな俳優さんなんで驚きました」と、打って変った感想でした。
『ライムライト』全編の完全上映ではなく、その一部分をぼくの語りでつないだ上映だったにも拘わらずです。

山高帽にちょび髭、竹のステッキにはち切れそうなチョッキ、だぶだぶズボンにどた靴。そんなチャップリンが登場するのは1914年、今から103年も前です。
その頃の短編作品も今回観られます。
なかでも4月16日に登場する『犬の生活』。短編の中でも傑作中の傑作です。
一匹の捨て犬と失業者ルンペンのチャップリン。似た者同士の境遇から助け合いながら生きる姿を見つめる監督としてのチャップリン。その温かい眼差しが涙を誘います。

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犬を子供に置き換えて作られたのが最初の長編『キッド』。
近頃の即席映画と違って、一つのシーンを2週間もかけて撮ったといわれるのが子役ジャッキー・クーガンとの朝食シーンです。パンケーキをよく数えて互いの皿に公平に盛り分け、半端になった1枚はきちんと寸法を測って真ん中から切り分けて、「さあ、食べよう」と・・・。
何回観ても笑ってしまうこのシーンは、クーガンがおなかペコペコの表情ができるまでなばり強く待ったというのです。
これも監督・脚本・主演のチャップリンの“食べる”ことへのこだわりでしょうか。
涙をこらえられないシーンもたくさんあります。
今回、札幌映画サークルが選んだ長編10作のほか、一日に3作あるいは4作まとめて公開する短編7作は、人間を痛めつけることを笑いの種にした初期短編を経て、チャップリンが人間愛に目覚めた頃のハートウォーミングな作品ばかり。
淀川さんが“チャップリンの宝石”と呼んでいたものばかりです。

淀川さんはこうも云います。
「映画ひと筋のチャップリンに私は“ライフワーク”の尊さを学んだ。そして1本1本をかけがえのない執念で生んでいくことの“自分への責任”に打たれた。チャップリンが私に与えてくれたものは、今の私のこの人生であり、行き方である」と・・・。

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