“日本映画名作祭2007”を開催します。 (改訂版 ver.5) 【終了しました】
2007.09.14
【このコラムは、札幌映画サークルの旧HPから移行した文章です】
2007年11月2日(金)〜3日(土)の2日間、札幌市生涯学習総合センター“ちえりあ”1Fホールにおいて、恒例となっている“日本映画名作祭2007”を開催し、日本映画の名作を上映します。
(すべて35mmプリントで上映します)
2007年は、“黒澤明監督特集”として、次の4本を上映します。
☆ 『酔いどれ天使』 (1948)
☆ 『羅生門』 (1950)
☆ 『生きる』 (1952)
☆ 『天国と地獄』 (1963)
2日間で1200名近くのお客様のご来場がありました。
どうもありがとうございました。
お詫び・・・11月3日(土・祝)の「生きる」の上映中、約7分間に亘る経年劣化によるプリント不良が原因のプリント切れがあり、映写の中断がありましたことを深くお詫びします。
上映した各作品の紹介は、下記に掲載している“日本映画名作祭2007 作品紹介・その1〜4”に掲載しています。
そして、札幌映画サークルでは、“日本映画名作祭2007 黒澤明監督特集”の開催に先立ち、映画評論家であり、音楽評論家でもある西村雄一郎氏をお迎えして、“黒澤明・音と映像 映画でクラシック”と題した講演会を開催します。
平成19年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2007 黒澤明監督特集”
『 酔 い ど れ 天 使 』 / 『 羅 生 門 』 / 『生 き る 』 / 『 天 国 と 地 獄 』
【会場】
札幌市生涯学習総合センター“ちえりあ”1Fホール
(札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10)
【上映時間】 開場時間は上映開始の各20分前
11月02日(金)
10:00〜11:38 『酔いどれ天使』
12:30〜13:58 『羅生門』
14:30〜16:53 『生きる』
18:00〜20:23 『天国と地獄』
11月03日(土)
10:00〜12:23 『天国と地獄』
13:30〜15:53 『生きる』
16:30〜17:58 『羅生門』
18:30〜20:38 『酔いどれ天使』
【鑑賞料金】
1作品・・・500円
(1作品ごとの完全入替制→続けてご覧になる場合も一度退席していただきます)
前売り券・当日券とも料金は同じですが、前売り券をお持ちの方の入場を優先とさせていただきます。
(お席は自由席です)
【主催】
日本映画名作祭上映実行委員会・札幌映画サークル・(財)札幌市生涯学習振興財団・文化庁・東京国立近代美術館フィルムセンター
尚、“ちえりあ”へのアクセスは、チラシの裏面の地図&以下のURLをご参照ください。
http://chieria.slp.or.jp/center_info/access.htm
“日本映画名作祭2007 作品紹介その1” 『酔いどれ天使』
平成19年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2007 黒澤明監督特集”
☆ 『 酔 い ど れ 天 使 』
[1948年4月26日封切り] (35mmプリントで上映します)
1948年 / 東宝 / 98分 / モノクロ / スタンダード
黒澤明監督作品 / 脚本・植草圭之助、黒澤明 / 撮影・伊藤武夫 / 照明・吉沢欣三 / 録音・小沼渡 / 音楽・早坂文雄 / 美術・松山崇 / 製作・本木荘二郎
出演・・・志村喬、三船敏郎、山本礼三郎、小暮美千代、中北千枝子、千石規子、笠置シズ子、殿山泰司、久我美子、飯田蝶子、清水将夫、他
* キネマ旬報1948年日本映画ベスト10第1位
第2次大戦中、「姿三四郎」(1943)で鮮烈な監督デビューを果たした黒澤明監督は、敗戦後も「わが青春に悔いなし」(1946)や「素晴らしき日曜日」(1947)の成功で、日本映画の若きエース的存在となりました。監督第7作目となるこの作品は、闇市のヤクザと飲んだくれの貧乏医者との、不思議な友情と葛藤を描いた作品で、強烈な個性を持つ若者とその観察者の設定や荒々しい映像表現の顕著さという点で、以後の黒澤映画のスタイルを決定づけたものといえます。
谷口千吉監督「銀嶺の果て」(1947・東宝配給)でデピューした三船敏郎の野性味あふれる顔つきに惚れ込んだ監督が、準主役に起用し、三船敏郎のスピード感溢れる動きに、監督自身、当初の構想を超える作品となり“三船君は楽だ。”と言わしめた。後に共に“世界の”という形容詞がつく二人が、運命的な出会いを果たした作品になりました。
【上映時間】 開場時間は上映開始の20分前
11月02日(金) 10:00〜11:38
11月03日(土) 18:30〜20:08
“日本映画名作祭2007 作品紹介その2” 『羅生門』
平成19年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2007 黒澤明監督特集”
☆ 『 羅 生 門 』
[1950年8月26日封切り] (35mmプリントで上映します)
1950年 / 大映(京都) / 88分 / モノクロ / スタンダード
黒澤明監督作品 / 原作・芥川龍之介 / 脚本・橋本忍、黒澤明 / 撮影・宮川一雄 / 照明・岡本健一 / 録音・大谷巌 / 音楽・早坂文雄 / 美術・松山崇 / 製作・箕浦甚吾
出演・・・三船敏郎、京マチ子、志村喬、森雅之、千秋実、上田吉二郎、本間文子、加東大介、他
* キネマ旬報1950年日本映画ベスト10第5位
* ヴェネチア国際映画祭1951年度グランプリ受賞
* アカデミー賞1953年度最優秀外国語映画賞受賞
一つの殺人事件に関わった8人の男女だけで演じられる不条理劇で、自己保存心理が生み出す事実の塗り替えを、各々の口で語らせることにより、人間が本来持っている業を余すところなく描き出す芥川龍之介の原作『薮の中』を、黒澤明監督独自のタッチで再現しています。
黒澤監督はこの作品について、“この映画の根本といえば、要するに、無声映画に帰ってみようとおもったことです。・・・・・・トーキーになって失われた映画の美しさをもう一度見つけようという気持ちだった。・・・・・・映画ももう一度単純化しなければならないのじゃないか、というのがあの試みだった。”
【上映時間】 開場時間は上映開始の20分前
11月02日(金) 12:30〜13:58
11月03日(土) 16:30〜17:58
“日本映画名作祭2007 作品紹介その3” 『生きる』
平成19年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2007 黒澤明監督特集”
☆ 『 生 き る 』
[1952年10月9日封切り] (35mmプリントで上映します)
1952年 / 東宝 / 143分 / モノクロ / スタンダード
黒澤明監督作品 / 脚本・橋本忍、小国英雄、黒澤明 / 撮影・中井朝一 / 照明・森茂 / 録音・矢野口文雄 / 音楽・早坂文雄 / 美術・松山崇 / 製作・本木荘二郎
出演・・・志村喬、小田切みき、田中春男、千秋実、藤原鎌足、金子信雄、小堀誠、浦辺粂子、伊藤雄之助、渡辺篤、清水将夫、他
* キネマ旬報1952年日本映画ベスト10第1位
* ベルリン国際映画祭1953年度銀熊賞受賞
それまで無気力に生きてきた一人の中年男が、死という絶対的なものを目前にして、自分を見つめ直し、人間としての尊厳を取りもどしていく姿を描いた作品で、死に直面した人間の心を通して、生きることの意味を優しい眼差しで表現しています。
ともすれば安易なストーリー展開に流れやすい題材ですが、回想形式によって、事実と真実の多面性を描くことに成功したのが、この作品の特徴となっています。
【上映時間】 開場時間は上映開始の20分前
11月02日(金) 14:30〜16:53
11月03日(土) 13:30〜15:53
“日本映画名作祭2007 作品紹介その4” 『天国と地獄』
平成19年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2007 黒澤明監督特集”
☆ 『 天 国 と 地 獄 』
[1963年3月1日封切り] (35mmプリントで上映します)
1963年 / 東宝=黒澤プロ / 143分 / モノクロ・パートカラー / シネマスコープ
黒澤明監督作品 / 原作・エド・マクベイン / 脚本・小国英雄、菊島隆三、久坂栄二郎、黒澤明 / 撮影・中井朝一、斎藤孝雄 / 照明・森弘充 / 録音・矢野口文雄 / 音楽・佐藤勝 / 美術・村木与四郎 / 製作・田中友幸、菊島隆三
出演・・・三船敏郎、仲代達也、香川京子、三橋達也、木村功、石山健二郎、志村喬、佐田豊、山崎努、他
* キネマ旬報1963年日本映画ベスト10第2位
アメリカの推理作家エド・マクベインの原作『キングの身代金』を映画化したものであるが、連れ去る子供を取り違えたとしても、その犯人の脅迫は成立するとのヒントを借りただけで、ほとんどのトリックは黒澤をはじめとする脚本家たちのアイディアです。
実際に運行される車両を借り切って、複数のカメラで同時期に撮影された特急列車のトイレの窓から身代金を投げ出すシーンと極刑を課すために犯人を泳がせ、新たな殺人現場におびき出すシーンが見どころになっています。
「用心棒」(1961)や「椿三十郎」(1962)で、これまでの時代劇にはなかった迫力を演出した黒澤明監督でしたが、この「天国と地獄」でも、サスペンス映画に斬新な演出を試みています。
【上映時間】 開場時間は上映開始の20分前
11月02日(金) 18:00〜20:23
11月03日(土) 10:00〜12:23
“黒澤明・音と映像 映画でクラシック”
@クリスチャンセンター
(写真提供・・・氏間さん)