アルフレッド・ヒッチコック監督作品3本を上映する『ヒッチコックを堪能する日』を開催します。 (ver. 4) 【終了しました】
2010.11.05
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札幌映画サークルでは、毎年開催している“日本映画名作祭”の“外国映画版”として、“札幌映画サークル ブルーレイ劇場”と題し、往年の洋画の上映会を2009年2月からシリーズで開催することになりました。
この上映会は、“地域映像文化のためのデジタルシネマ上映推進事業”として開催しています。
第2回目の上映は、イギリスからハリウッドに渡った鬼才アルフレッド・ヒッチコック監督の3作品『レベッカ』(1940)、『断崖』(1941)、『汚名』(1946)を上映します。
尚、3作品共、Blu-Ray Discを使ったDLP上映ですので、劣化の少ない高精細な映像とクリアな音声で鑑賞することが出来ます。
イギリス映画の鬼才アルフレッド・ヒッチコック監督は、ハリウッドのプロデューサーで、『風と共に去りぬ』をヒットさせたばかりのデヴィッド・O・セルズニックに招かれるや、第2次世界大戦中の1940年、ハリウッド第1作『レベッカ』でいきなりアカデミー賞の作品賞を受賞します。
スリラー、サスペンスの巨匠と呼ばれ始め、世界中に“ヒッチコキアン”を生みました。
フランソワ・トリフォー、ルネ・クレマン、クロード・シャブロル、ジャン=リュック・ゴダール、アンリ=ジョルジョ・クルーゾー、ブライアン・デ・パルマら錚々たる監督たちが、その“映画術”を論じ、学びました。
終戦後に、ヒッチコック監督の作品を初めて観た日本映画界は、その完成度の高さに仰天しました。
没後30年の今、歴史的な1940年代の3作品(いずれもモノクロ作品)を特集上映します。
伏線を張りめぐらせた脚本、カメラワークと映像美、英米を代表する俳優陣・・・すべて一級品です。
どうぞ、お見逃しなく!
“札幌映画サークル ブルーレイ劇場2010 ヒッチコックを堪能する日”
『レベッカ / Rebecca』 / 『断崖 / Suspicion』 / 『汚名 / Notorious』
【会場】
札幌エルプラザホール
(札幌市北区北8条西3丁目 札幌市男女共同参画センター3F)
【上映時間】 開場時間は上映開始の各15〜20分前
2010年12月12日(日)
10:00〜11:39 「断崖」
12:00〜13:41 「汚名」
14:00〜16:11 「レベッカ」
16:30〜18:09 「断崖」
18:30〜20:11 「汚名」
(「レベッカ」上映後に、“ヒッチコックを語る会”をロビーで開催します)
【鑑賞料金】
1作品・・・500円
(1作品ごとの完全入替制→続けてご覧になる場合も一度退席していただきます)
前売り券・当日券とも料金は同じですが、前売り券をお持ちの方の入場を優先とさせていただきます。 (お席は自由席です)
札幌映画サークル会員は、3本無料
【主催】
札幌映画サークル
* 前売り券は、札幌市内主要プレイガイドで発売中!
(尚、札幌映画サークルでは、電話とFAX、Eメールで予約を受け付けています→TEL & FAX: 011-747-7314、Eメール: sapporocinema@yahoo.co.jp)
お名前と希望枚数、電話番号(若しくは、アドレス)を録音(留守電)、送信(FAX & Eメール)してくださるようお願いします
“ヒッチコックを堪能する日 作品紹介その1” 『レベッカ』
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札幌映画サークル ブルーレイ劇場2010 ヒッチコックを堪能する日”
『 レ ベ ッ カ / R e b e c c a 』 【1951年4月7日・日本公開】
1940年 / アメリカ映画 / 131分 / モノクロ / スタンダード
アルフレッド・ヒッチコック監督作品 / 製作・・・デヴィッド・O・セルズニック / 原作・・・ダフネ・デュ・モーリア / 脚本・・・ロバート・E・シャーウッド、ジョーン・ハリソン / 音楽・・・フランツ・ワックスマン / 撮影・・・ジョージ・バーンズ / 編集・・・W・ドン・ヘイズ
出演・・・ジョーン・フォンティーン、ローレンス・オリヴィエ、ジョージ・サンダース、ジュディス・アンダーソン、ナイジェル・ブルース、他
ダフネ・デュ・モーリアの同名小説「レベッカ」を原作とした、アルフレッド・ヒッチコックの渡米第1回監督作品となるゴシック・ロマン。
ヒロインが、リビエラの旅行で英国紳士マキシムと出会い、彼の後妻としてイギリスの屋敷にやって来ます。だが、その屋敷には、マキシムの死んだ前妻レベッカの、見えない影が全てを支配していた・・・。
美しいヒロインとその相手役に、イギリスの誇るJ・フォンティーンとL・オリヴィエを配し、「嵐が丘」風なメロドラマの雰囲気と心理的な緊迫感あふれるサスペンスの古典作品で、ヒッチコック作品を語るには欠かせない作品です。
* 1940年アカデミー賞作品賞・撮影賞(モノクロ部門)受賞
“ヒッチコックを堪能する日 作品紹介その2” 『断崖』
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札幌映画サークル ブルーレイ劇場2010 ヒッチコックを堪能する日”
『 断 崖 / S u s p i c i o n 』 【1947年2月25日・日本公開』
1941年 / アメリカ映画 / 99分 / モノクロ / スタンダード
アルフレッド・ヒッチコック監督作品 / 製作総指揮・・・デヴィッド・O・セルズニック / 脚本・・・サムソン・ラファエルソン、アルマ・レヴィル、ジョーン・ハリソン / 音楽・・・フランツ・ワックスマン / 撮影・・・ハリー・ストラドリング
出演・・・ケイリー・グラント、ジョーン・フォンティーン、サー・セドリック・ハードウィック、ナイジェル・ブルース、ディム・メイ・ホイッティ、他
フランシス・アイルズの原作「Before The Fact/レディに捧げる殺人物語」を映画化した作品で、夫に対する“疑惑”の念に取り憑かれた妻を描いたヒッチコック監督の心理スリラー。
ずさんな財産管理の仕方や、懸命に毒薬について調べている夫の姿を見て、妻の疑念は日々増していきます。そして、家を出ようとした妻を乗せたまま、夫の運転する車は断崖目指して突き進む・・・。
映画は、完全にJ・フォンティーン(アカデミー主演女優賞受賞)が演じる妻の主観で丹念に描かれているため、彼女が次第に被害妄想となり夫に殺されるかもしれないという感情にいたる過程が非常に理解しやすいものになっている。
C・グラントが夫に扮し、曖昧な芝居を見せているのも効果的となっています。
* 1941年アカデミー賞・主演女優賞受賞 (ジョーン・フォンティーン)
“ヒッチコックを堪能する日 作品紹介その3” 『汚名』
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札幌映画サークル ブルーレイ劇場2010 ヒッチコックを堪能する日”
『 汚 名 / N o t o r i o u s 』 【1949年11月20日・日本公開】
1946年 / アメリカ映画 / 101分 / モノクロ / スタンダード
アルフレッド・ヒッチコック監督作品 / 製作・・・デヴィッド・O・セルズニック / 共同制作・・・バーバラ・ケオン / 原案・・・アルフレッド・ヒッチコック / 脚本・・・ベン・ヘクト / 音楽・・・ロイ・ウェッブ / 撮影・・・テッド・テズラフ / 編集・・・スローン・ウォース
出演・・・ケイリー・グラント、イングリッド・バーグマン、クロード・レインズ、ルイス・カルハーン、レオポルディーネ・コンスタンチン、他
ヒッチコック監督作品の中では、スリラーの要素よりもメロドラマの色を濃くした作品で、E・バーグマンとC・グラントが見せた熱烈なラブ・シーンは、公開当時かなりの話題となりました。
登場人物の設定と行動について、いささか説明不足の感もあるので、ドラマの中にすんなり入って行けない部分もありますが、そのサスペンス醸造の手法は、見事なものになっています。
父親にドイツのスパイ容疑がかけられ、売国奴の娘と呼ばれた主人公にFBI捜査官が接近して来ます。ナチの残党と思しき人物が父の友人であったことから、主人公にその内情を探って欲しいという依頼だった・・・。
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サー・アルフレッド・ジョウゼフ・ヒッチコック
(Sir Alfred Joseph Hitchcock, KBE)__映画監督・映画プロデューサー
1899年8月13日、イギリス・ロンドンのレイトンストーン生まれ
1980年4月29日、アメリカ・ロサンゼルスで腎不全のため逝去
“サスペンス映画の神様”――“スリラーの巨匠”――“映像の魔術師”――“プロットの天才”――そして、“映画界の帝王”と呼ばれる存在。
1925年、『快楽の園/The Pleasure Garden』で監督デビュー。以降、1939年までの“イギリス時代”に25本の作品を監督しました。
1938年、ニューヨーク批評家協会賞の監督賞を受賞した『バルカン超特急/The Lady Vanishes』などで、アメリカでも注目を集め、1940年、アメリカのプロデューサーであるデヴィッド・O・セルズニックに招かれ、1940年の『レベッカ/Rebecca』から1976年の遺作『ファミリー・プロット/Family Plot』までの30作品をハリウッドで監督しました。
(他に、第2次世界大戦中にイギリス政府が製作したフランス向け国策映画が2本あります)
ヒッチコック監督のユーモアは、アメリカでの作品群でも発揮され、作風はサスペンスをトレードマークとしていました。1940年代の作品は非常に多様で、ロマンティック・コメディの『スミス夫妻』(1941年)から暗いサスペンス(フィルム・ノワール)の『疑惑の影』(1943年)まで多種に及びます。
1950年代は、ヒッチコックの黄金時代といえます。さまざまな円熟期の作品が量産されました。
1956年、アメリカの市民権を取得しました。
『鳥』(1963年)までは精彩を放っていましたが、『マーニー』(1964年)以降は凡庸な作品が目立つようになりました。キャストやスタッフとの人間関係が影響しているのでは、といわれています。
高齢による衰えとの説もありますが、イギリスを舞台に撮影した最後から2番目の作品『フレンジー』(1972年)では、キレのあるサスペンスの演出を見せ、ヒッチコック復活を印象付けました。
1980年1月3日、エリザベス2世よりナイトの称号を授けられました。
ヒッチコック監督の作品は、非常に高度な映画技法を駆使して作られていて、際立った演出手腕を持った映画監督といえます。
その映像テクニックは、技術本位ではなく、あくまで演出上必要であるからこそ使われ、結果的に絶大な効果を上げています。
また、自分の作品のどこかに、ほんの一瞬だけ必ず姿を出すことでも知られています。
ヒッチコック監督が好んで使ったブロンド美人たちは、“妖艶にして清純、男を惹きつけながら決して所有できない女”といわれています。
1955年から1962年にかけては、TVドラマ・シリーズ「ヒッチコック劇場/Alfred Hitchcock Presents」を総監修して、番組の冒頭と終わりに進行役として出演、幾つかのエピソードも監督しました。この番組は、日本でもオンエアされ、評判となり、何度も再放映されています。
【監督代表作】
『暗殺者の家/The Man Who Knew Too Much』(1934)
『三十九夜/The 39 Steps』(1935)
『間諜最後の日/The Secret Agent』(1936)
『サボタージュ/Sabotage』(1936)
『第3逃亡者/Young And Innocent』(1937)
『バルカン超特急/The Lady Vanishes』(1938)
『レベッカ/Rebecca』(1940)
『海外特派員/Foreign Correspondent』(1940)
『断崖/Suspicion』(1941)
『逃走迷路/Saboteur』(1942)
『疑惑の影/Shadow Of A Doubt』(1943)
『白い恐怖/Spellbound』(1945)
『汚名/Notorious』(1946)
『見知らぬ乗客/Strangers on a Train』(1951)
『ダイヤルMを廻せ!/Dial M For Murder』(1954)
『裏窓/Rear Window』(1954)
『泥棒成金/To Catch A Thief』(1955)
『ハリーの災難/The Trouble With Harry』(1955)
『知りすぎていた男/The Man Who Knew Too Much』(1956)
『間違えられた男/The Wrong Man』(1956)
『めまい/Vertigo』(1958)
『北北西に進路を取れ/North By Northwest』(1959)
『サイコ/Psycho』(1960)
『鳥/The Birds』(1963)
『マーニー/Marnie』(1964)
『引き裂かれたカーテン/Torn Curtain』(1966)
『トパーズ/Topaz』(1969)
『フレンジー/Frenzy』(1972)
『ファミリー・プロット/Family Plot』(1976)