恒例の“日本映画名作祭2010”を開催します。 (ver. 3) 【終了しました】
2010.10.05
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札幌映画サークルは、2010年11月3日(水・祝)〜4日(木)の2日間、札幌市生涯学習総合センター“ちえりあ”1Fホールにおいて、恒例の“日本映画名作祭2010”を開催し、日本映画の名作を上映します。
(すべて35mmプリントで上映)
2010年は、“木下惠介監督特集”として、次の4本を上映します。
☆ 『カルメン故郷に帰る』 (1951)
☆ 『二十四の瞳』 (1954)
☆ 『野菊の如き君なりき』 (1955)
☆ 『喜びも悲しみも幾歳月』 (1957)
上映する各作品の紹介は、下記に掲載してある“日本映画名作祭2010 作品紹介・その1〜4”に掲載しています。
そして、札幌映画サークルでは、“日本映画名作祭2010 木下惠介監督特集”の上映と共に、札幌在住の楢部一視(ならべかずし)さんによる“木下惠介監督作品を語る 作品に見る厳しさとやさしさ”と題する講演会も併せて開催します。
(入場券半券をお持ちの方は無料で聴くことが出来ます)
平成22年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2010 木下惠介監督特集”
『 カ ル メ ン 故 郷 に 帰 る 』 / 『 二 十 四 の 瞳 』 / 『 野 菊 の 如 き 君 な り き 』 / 『 喜 び も 悲 し み も 幾 歳 月 』
【会場】
札幌市生涯学習総合センター“ちえりあ”1Fホール
(札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10)
【上映時間】 開場時間は上映開始の各15〜20分前
11月3日(水・祝)
10:00〜12:36 「二十四の瞳」
13:20〜14:46 「カルメン故郷に帰る」
15:00〜16:00 “楢部一視さんの講演会”
16:20〜17:52 「野菊の如き君なりき」
18:10〜20:51 「喜びも悲しみも幾歳月」
11月4日(木)
10:00〜12:41 「喜びも悲しみも幾歳月」
13:20〜14:52 「野菊の如き君なりき」
15:00〜16:00 “楢部一視さんの講演会”
16:20〜17:46 「カルメン故郷に帰る」
18:10〜20:46 「二十四の瞳」
【楢部一視さんのプロフィル】
中学・高校・大学とも早稲田に学び、大学時代に雑誌『劇評』社に所属、三島由紀夫、戸板康二、津村英夫の各氏に学びました。1948年上野高校で発足した“映画之友友之会”の第1期生。以後、淀川長治氏を人生の師と仰ぐ。1955年松竹入社。京都・大船両撮影所でプロデューサー助手時代を経て、映画、テレビを通じ三浦綾子作品を多く担当しました。その縁で1978年から札幌在住。現在“アトリエ楢部”を主宰し、映画・演劇活動者の育成を支援しています。趣味は“文楽”。
『映画批評研究』津村会会員。札幌映画サークル会員。
一昨年、昨年の講演に引き続き、本年も講師をお願いしました。
【鑑賞料金】
1作品・・・500円
(1作品ごとの完全入替制→続けてご覧になる場合も一度退席していただきます)
前売り券・当日券とも料金は同じですが、前売り券をお持ちの方の入場を優先とさせていただきます。 (お席は自由席です)
【主催】
日本映画名作祭上映実行委員会・札幌映画サークル・(財)札幌市生涯学習振興財団・文化庁・東京国立近代美術館フィルムセンター
【お願い】
“ちえりあ”には、公共交通機関をご利用の上、ご来場ください。また、ホール内が冷え込んでいる場合がありますので、暖かい服装でお越しくださるようお願いします。
“日本映画名作祭2010 作品紹介その1” 『カルメン故郷に帰る』
平成22年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2010 木下惠介監督特集”
☆ 『 カ ル メ ン 故 郷 に 帰 る 』 【1951年(昭和26年)3月21日封切り】
1951年 / 松竹 / 86分 / カラー / スタンダード
木下惠介監督作品 / 脚本・木下惠介 / 製作・月森仙之助 / 撮影・楠田浩之 / 照明・豊島良三 / 録音・大野久男 / 音楽・木下忠司、黛敏郎 / 美術・小島基司
出演・・・高峰秀子、佐野周二、笠智衆、井川邦子、坂本武、見明凡太郎、佐田啓二、小林トシ子、三井弘次、望月美恵子(優子)、他
* キネマ旬報1951年日本映画ベスト10第4位
* 2009年キネマ旬報 日本映画オールタイム・ベスト映画遺産200選出
国産カラー映画の第1作。日本映画監督協会は、富士写真フイルムの委託を受けて日本初の長篇総天然色映画を企画、松竹の木下惠介をその監督に選びました。
まばゆいメイクと色とりどりの衣装で飾り立てた女優たちが緑豊かな高原で歌い踊る映像に、カラー第1作を手がけた監督の意気込みが感じられます。
東京で名を上げたストリッパーのリリィ・カルメンことおきん(高峰秀子)は、同僚のマヤを連れて故郷に意気揚々と帰って来ます。芸術家気取りのリリィは、派手な服装と突飛な行動で、若く純情な小学校教師の小川や、盲目の元音楽教師の田口、親切な校長先生、朴訥な父親等を巻き込んで、ドタバタ喜劇を繰り広げます。
監督の実弟、木下忠司の音楽が、浅間高原を舞台にした牧歌的なコメディに深い情感を与え、異彩を放っています。
この作品で、初めて木下監督とコンビを組んだ高峰秀子は、主役を鮮やかに演じきり、以降、木下映画の中心的なヒロイン像を担うことになります。
続編に、『カルメン純情す』(1952)があります。
【上映時間】 開場時間は上映開始の15分前
11月3日(水) 13:20〜14:46
11月4日(木) 16:20〜17:46
“日本映画名作祭2010 作品紹介その2” 『二十四の瞳』
平成22年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2010 木下惠介監督特集”
☆ 『 二 十 四 の 瞳 』 【1954年(昭和29年)9月14日封切り】
1954年 / 松竹・大船 / 156分 / モノクロ / スタンダード
木下惠介監督作品 / 原作・壺井栄 / 脚本・木下惠介 / 製作・桑田良太郎 / 撮影・楠田浩之 / 照明・豊島良三 / 録音・大野久男 / 音楽・木下忠司 / 美術・中村公彦
出演・・・高峰秀子、月丘夢路、小林トシ子、井川邦子、田村高広、笠智衆、夏川静江、浦辺粂子、清川虹子、浪花千栄子、明石潮、他
* キネマ旬報1954年日本映画ベスト10第1位
* 1954年日本映画興行収入ベスト10第5位
* 2009年キネマ旬報選出“映画史上のベスト10”日本映画第6位
壺井栄が1952年に発表した児童小説を、当時気鋭の中堅監督だった木下惠介が脚色・監督した作品。
小豆島の豊かな自然を背景に、太平洋戦争をはさんだ激動の時代を、小学校の教師とその教え子たちの成長を通して描き、国民的大ヒットとなった文字通りの感動大作です。
風光明媚な島の自然をとらえるために長期にわたるロケーションが行なわれたのはもちろんですが、セット撮影であることを感じさせず“自然のように”見せる配慮が画面のすみずみまで行き届いていることも見逃せません。
小学唱歌のみを用いた音楽も特徴的です。
木下監督はこの作品の成功で、一般には叙情派監督として大きく印象づけられることになりました。
冒頭の場面と同じく再び自転車に乗って、岬の分教場に向かう主人公、大石先生(高峰秀子)を小さく映し出すラストシーンには、少しも変わらない自然、その中を点景のごとく生きている人間、そして人間の営みに対する木下監督の思想が集約されています。
“キネ旬”第1位をはじめ、この年の映画賞を独占しました。
【上映時間】 開場時間は上映開始の15分前
11月3日(水) 10:00〜12:36
11月4日(木) 18:10〜20:46
“日本映画名作祭2010 作品紹介その3” 『野菊の如き君なりき』
平成22年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2010 木下惠介監督特集”
☆ 『 野 菊 の 如 き 君 な り き 』 【1955年(昭和30年)11月29日封切り】
1955 / 松竹・大船 / 92分 / モノクロ / スタンダード
木下惠介監督作品 / 原作・伊藤左千夫 / 脚本・木下惠介 / 製作・久保光三 / 撮影・楠田浩之 / 照明・豊島良三 / 録音・大野久男 / 音楽・木下忠司 / 美術・伊藤熹朔
出演・・・有田紀子、田中晋二、笠智衆、田村高広、小林トシ子、杉村春子、雪代敬子、山本和子、浦辺粂子、松本克平、小林十九二、他
* キネマ旬報1955年日本映画ベスト10第3位
* 2009年キネマ旬報 日本映画オールタイム・ベスト映画遺産200選出
原作は、明治時代の歌壇で正岡子規に師事した著名な歌人、伊藤左千夫の小説「野菊の墓」です。
数十年ぶりに故郷を訪れた老人の追想が、信州の美しい自然を背景に回想形式で描かれます。
旧家に育った少年と、2歳年上のいとこの少女との淡い恋愛が、古い道徳観に縛られる大人たちによってとがめられ、二人は離れ離れにされた上、少女は嫁ぎ先で少年の手紙を握りしめて死んでしまいます。
その思い出を回想する場面では、木下監督はスタンダード・サイズの画面を、白地の楕円形で囲むという大胆な表現形式を採用し、シネマスコープならぬ“たまごスコープ”と称されて話題になりました。
この作品では、木下監督の叙情性がストレートに表現されているとともに、詠嘆的美しさとしての完成度が感じられるものとなっています。
主人公に起用された田中晋二と有田紀子は無名の新人で、演出意図に沿った初々しさを十分に発揮しています。
【上映時間】 開場時間は上映開始の15分前
11月3日(水) 16:20〜17:52
11月4日(木) 13:20〜14:52
“日本映画名作祭2010 作品紹介その4” 『喜びも悲しみも幾歳月』
平成22年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2010 木下惠介監督特集”
☆ 『 喜 び も 悲 し み も 幾 歳 月 』 【1957年(昭和32年)10月1日封切り】
1957 / 松竹・大船 / 161分 / カラー / スタンダード
木下惠介監督作品 / 原作・脚本・木下惠介 / 撮影・楠田浩之 / 照明・豊島良三 / 録音・大野久男 / 音楽・木下忠司 / 美術・伊藤熹朔、梅田千代夫
出演・・・高峰秀子、佐田啓二、中村賀津雄、有沢正子、桂木洋子、田村高広、北龍二、夏川静江、中谷昇、三井弘次、桜むつ子、他
* キネマ旬報1957年日本映画ベスト10第3位
* 1957年日本映画興行収入ベスト10第2位
ある灯台守の妻の手記からヒントを得て、木下惠介監督が作り上げた夫婦の一代記です。
上海事変の1932年、新婚早々の一組の夫婦が観音崎灯台に赴任します。二人の生活は、戦争に翻弄される日本と同じ苦労をたどります。戦後も一人息子の死や娘の結婚という悲喜こもごもの連続でした。
25年にわたる夫婦の姿を通して、木下監督は『二十四の瞳』と同じように、日本の同時代史を見事に描いてみせます。
木下監督は、日本人好みの感傷を織り交ぜながら波乱万丈の一代記をうまくまとめ上げ、北は北海道の納沙布岬から南は五島列島の先の女島まで、全国15か所に横断ロケを敢行し、その後のロケ地とのタイアップによる製作方法の先駆けとなりました。
作品は記録的大ヒットとなり、“♪おいら岬の〜、灯台守は〜”で始まる映画の主題歌も、行進曲的なアレンジによる若山彰の歌唱によって多くの人々に親しまれました。
【上映時間】 開場時間は上映開始の15分前
11月3日(水) 18:10〜20:51
11月4日(木) 10:00〜12:41
“平成22年度優秀映画鑑賞推進事業”について・・・
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文化庁と東京国立近代美術館フィルムセンターでは、広く国民の皆様に優れた映画を鑑賞していただくことを目的に、平成元年度から“優秀映画鑑賞推進事業”を実施しています。
2010年(平成22年)は、昭和12年から平成5年にかけて製作された日本映画の中から映画史を代表する作品や、多くの国民に好評を博した作品を選んで各地で上映します。映像芸術の原点としての映画の持つ素晴らしさをご理解いただき、これを機会に各地で名画鑑賞会のような組織づくりの機運が盛り上がり、スクリーンを通して映画を鑑賞する人口が増えていくことを期待します。
今年度の“優秀映画鑑賞推進事業”は、全国195会場(北海道は、札幌・千歳・滝川・砂川・厚岸の5会場)において25プログラムで実施されます。