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活動報告の詳細
9/23 『39窃盗団』の上映会を開催します (ver. 6) 【終了しました】
2013.08.06
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【“ネット・クーポン”のお知らせ】
このトップページを印刷、または、スマートフォン・タブレット等で画面表示された時に、前売り料金でご入場していただくことが出来ますので、どうぞご利用ください。


札幌映画サークルは、障がい者福祉の4団体と実行委員会を組んで、ダウン症の兄と発達障害のある弟が、“心神喪失者は罰せられない”という刑法39条を悪用した振り込め詐欺のボスにだまされ、泥棒の旅に出る異色コメディー・・・『39(サンキュー)窃盗団』の上映会を2013年9月23日(祝・月)にエルプラザホールで開催します。

6月28日に開催した、この作品のマスコミ試写兼先行上映会は、ほぼ満席に近い状況で、お客様への配慮、音声ガイドの課題が見つかり、対応策も浮かびました。


上映会当日に撮影した写真をアップしました。
以下のURLでご覧ください。
http://sapporocinema.net/album_a_detail.php?ID=1246



【刑法第39条】
1) 心神喪失者の行為は、罰しない。
2) 心身耗弱者の行為は、その刑を減軽する。


『3 9 ( サ ン キ ュ ー ) 窃 盗 団 』
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刑法39条があるから大丈夫!?
     兄と弟が紡ぎだす、緊張感ゼロのドロボー・ムービー。

本当に、彼らは捕まることは無い!・・・のかな?



“レッツゴー、ドロボー。”



『39(サンキュー)窃盗団』


2011年/押田興将監督作品/日本映画/カラー/ビスタサイズ/113分


ダウン症の青年が主役を演じる、意外と社会派?コメディー


監督・脚本・・・押田興将/プロデューサー・・・大西弘幸、野々川千恵子/音楽・・・大友良英/撮影・・・松根広隆/録音・・・今村寿志/編集・・・今井剛/整音・・・松本昇和/音響効果・・・伊藤瑞樹/制作・・・千葉文香/美術・・・柳橋啓子、坂田未希子、由田志穂/助監督・・・松原隆二/スチール・・・田中良子/制作デスク・・・岡田直子/主題歌・・・“♪サンキュー窃盗団のテーマ”/制作支援・・・川崎市アートセンター/製作・・・サンキューキネマ団/配給・・・オフィス・シロウズ


出演・・・押田大(ヒロシ)、押田清剛(キヨタカ)、山田キヌヲ(和代)、斎藤歩(ケンジ)、内田春菊(近所の主婦)、ベンガル(刑事)、品川徹(金山)、他


* この『39(サンキュー)窃盗団』は、2013年2月13日にシアターキノで1日だけ札幌で上映されました。(東京での封切りは、2012年11月17日)


上映日程
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【会場】
札幌エルプラザホール
(札幌市北区北8条西3丁目 札幌市男女共同参画センター 3Fホール)

  
【上映時間】
2013年9月23日(祝・月) 開場10:00
 1)10:30〜、 2)13:00〜、 3)16:20〜、 4)18:30〜

* 1、3、4回目の上映は、無料でお貸しするヘッドフォンで音声ガイドを聴くことが出来ます。但し、2回目は、音声ガイドを会場全体に再生します。/全上映回・・・日本語字幕付き

(2回目の上映終了後、押田監督と主演・押田清剛さんの手話通訳付きのステージ・トークがあります)


【鑑賞料金】
前売り券 1000円 (当日1200円)
シニア券 1000円 (当日のみ)
障がい者・学生券 500円 (当日)
札幌映画サークル会員  無料

*大丸藤井、道新、教文のプレイガイドで発売中!

【お問い合わせ・ご予約】
札幌映画サークル
011-747-7314 (Tel & Fax)
sapporocinema@yahoo.co.jp (Eメール)
藤野・・・090-6700-9673 [一部チラシで番号が間違っていました。訂正します]
大関・・・090-2875-8362

  
【主催】
『39窃盗団』札幌上映実行委員会   
(ダウン症児・者父母の会 北海道小鳩会、全国障害者問題研究会北海道支部、きょうされん北海道支部、NPO法人 子どもサポートどろんこクラブ、札幌映画サークル)

【後援】
札幌市、財団法人 日本ダウン症協会、NPO法人東京都発達障害支援協

押田興将監督のドキュメンタリー『Challenged』も上映します!
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当日、別室(研修室1)において、押田興将監督の1998年のドキュメンタリー作品『Challenged チャレンジド・挑戦という運命をもたらされた人たち』(67分)も上映します。


コンピューターという翼を 手に入れた障害者たち!
彼らは福祉の概念を変え、私たちを変え、日本を変える!

障害者(チャレンジド)たちが健常者を励まし勇気づけ、 新しい社会への希望を与えてくれる。
これは、信じがたいドキュメンタリーである。

『チャレンジド』 = アメリカでは、「神様から挑戦する運命をもたらされた人たち」という意味を込め、障害者をザ・チャレンジドと呼びはじめている。


【上映時間】
1)10:30〜、 2)13:00〜、 3)16:20〜、 4)18:30〜
* 各回日本語字幕付き(音声ガイドはありません)

【鑑賞料金】
一律 300円 (当日のみ)


『Challenged チャレンジド・挑戦という運命をもたらされた人たち』

企画・・・アジア映画制作機構/制作・・・アジア映画制作機構、フィールドワークスプロジェクト/ゼネラルプロデューサー・・・鈴木康策/企画プロデューサー・・・川島正英、清水洋三/制作プロデューサー・・・武重邦夫/中川邦彦/監督・・・押田興将/撮影・・・松根広隆/編集・・・岡安肇/製作担当・・・佐藤圭輔/スチール・・・田中良子/監修・・・今村昌平

「僕が弟を撮ったわけ」  by 押田興将
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僕には、1人の姉と4人の弟と2人の妹がいる。
つまり僕は、8人姉弟の長男。
僕が障害者と呼ばれる人と直面したのは、11歳の時。
姉弟の7番目・清剛が3歳の時、どうやらコイツは僕ら他の姉弟とは違うらしいと気がついた時だった。

両親から、清剛の症状や病名に関して説明があったという記憶がない。
ただ、他の弟妹より歩くのが遅いなとか、なかなかこいつは喋らないなと、僕らとの“違い”を、“病気”という理由で理解した記憶があるだけだ。
だから、“障害者”とか“ダウン症”という言葉を覚えたのも、それよりずっと後だったと思う。

喋るのも歩くのも遅かった分だけ、初めて歩いた瞬間や、初めて清剛から「ミジュ…」と聞いた声を強烈に覚えている。
手すりから手を離してヨタヨタと歩いた時は、「キヨちゃんが歩いた! 歩いたよ!」と呼びながら母親の元へ走った高揚感は、今も忘れられない。

彼は、何もせず、動かない。
常にじっとしている。
笑うと本当にかわいくて、周囲から無条件に愛されていた。

僕は、子供の頃から暴力的で、誰かまわず殴りまくって、当たり散らして、家族や先生から忌み嫌われていた。
憧れていたのかもしれないし、妬みもあったのかもしれない。
清剛の存在が、いつの間にか僕の人間観の中に、ドカリと腰を下ろして居座っていた。
コイツ、何なんだ・・・。

高校も中退してブラブラしていた僕は、19の時に映画の世界に飛び込んだ。
社会と人間を描く今村昌平映画の教えを受け、自分の人間観と向きあうために、“キヨタカ”を映画にしなければならないと思うようになった。

ダウン症。
染色体の21番目が1本多い染色体異常。
世界各地のダウン症と呼ばれる人は、とても顔が似ている。知的障害者。
障害者、しょうがい者、障碍者。
どれも、キヨタカをカテゴライズする言葉だと思うが、どうもキヨタカの話をされている感じがしない。
そもそも、治ることがない先天性の独特な遺伝子を持つキヨタカは、“病気”というものなのか?
もし、“障害”というものが、<ある人には可能であることがこの人には不可能である>ことを指すのであれば、イチローから見たほとんどの人間は“障害”があるということなのか?
ボルトから見たら、僕が走る姿は障害と映るのだろうか?
ほとんどの人が出来ないことは、出来なくても良いということが“通常”ということならば、“ほとんどの人”とは、どこからどこまでなのだろう。
これは僕の屁理屈だ。

しかし、キヨタカは何者か?と考えれば考えるほど、屁理屈を並べたくなるほどよくわからない。
この僕のモヤモヤは、発達障害と呼ばれている人たちと出会い、さらに大きくなった。

特殊学級や養護学校と普通学級を行ったり来たりしているような人に出会ったことがある人も多いと思う。
話していると違和感がないのに、計算になると突然できなくなる。
勉強はできるのに、人とコミュニケーションがとれない。
一つのことはできるのに、二ついっぺんに言われると一つもできない。
彼らは、社会の中に溶け込めず、ホームレスとして路上での生活を余儀なくされたり、犯罪を繰り返して刑務所というツールで生き延びているケースも少なくない。
現在、路上生活者の3割、刑務所に収監されている人の2割以上が、何らかの知的な問題を抱えていると言われている。

我々社会は、彼らとどう向き合うべきなのか?
我々社会は彼らをどう受け止めるべきなのか!
なんて、小難しいことを考えていたある日、僕の尊敬するある福祉施設の理事長からダメ出しを食う。

キヨタカは、毎日帰宅すると、風呂で修行をしていたことがある。
修行といっても、どこで覚えたのかシャワーを滝に見立てて、人差し指を重ねて、ひたすらブツブツ言っているだけの修行だ。
そのブツブツをよく聞いてみると、「キモイ」とか「こっち来んじゃねえよ」といった、どうやら通学・通勤途中で言われた罵詈雑言のようだ。
時には、言っているうちに興奮して風呂場のガラスを叩き割って、血まみれになったこともある。
その話を聞いた理事長曰く、なんでそれを撮らないんだ。
上から目線じゃ、何も本当のことは見えないぞと。
まぁ、そうっすね。おっしゃる通り。

肩の力を抜いて、キヨタカをまるごと撮ってみようと思った。
39窃盗団(さんきゅうーせっとうだん)というストーリーを思いついた時には、この映画を商業映画ではない自主製作というプロセスでつくろうと決めた。

僕は、この映画で、彼らの置かれている環境や社会的な問題を批判的に描いていない。
批判どころかコメディとして描いている。
詐欺師に騙され、売春をされられ、殴られ、ゴミ箱を漁る。
不快に感じる人もいるかもしれないと感じつつ、これは彼らが実際に直面している状況であり、その中でふてぶてしく生きていく様を見て欲しい。

笑顔のかわいかったキヨタカは、この撮影の時にはすでに35歳のオッサンになっている。兄が言うのもなんだが、今でもとてもチャーミングだ。
この姿を笑って見て欲しい。

最後に、この映画に一に二もなく協力してくれた、大西弘幸さん、野々川千恵子さん、今村昭子さん、ヒロシ、ボランティアで参加してくれたスタッフの方々、キャストの方々、本当に多くの人の協力でこの映画が生まれました。
そして、キヨタカを好きになってくれました。この場をお借りして深く御礼申し上げます。

Thank you! Thank you!




犯罪に手を染める知的障害者と発達障害者の実相を描く現代性
6月28日に開催した先行上映会で、“ダウン症児・者父母の会 北海道小鳩会”の見好明子さんとトークした二通諭さんが(札幌学院大学人文学部人間科学科准教授)が発表した原稿を転載します。


『39窃盗団』(監督/押田興将)の訴求力は以下の3点に集約できる。

第1に、ダウン症者を主役にしていることである。
第2に、累犯障害者の問題にスポットを当てていることである。
第3に、深刻なテーマをユーモラスに描いているということである。

ダウン症者である兄キヨタカ(押田清剛)と、発達障害者という設定で弟を演じたヒロシ(押田大)は、押田監督の実のきょうだいである。
ヒロシは振り込め詐欺の元締めであるケンジ(斎藤歩)に操られ、刑務所を出たり入ったりしている。
昨今話題の“累犯障害者”だ。
ヒロシはケンジに騙されていることに気づけない。
ヒロシにとってのケンジは、暴力を振るわない優しい人であり、役所に出す書類も作成してくれる親切な人なのだ。

キヨタカとヒロシは、養育者である祖母が亡くなったので、特殊学級時代のクラスメイトである和代(山田キヌヲ)のアパートに転がり込む。
花屋になることを夢見る和代だが、継父に売春を強いられるなど性的虐待を受けている。

ヒロシは、ケンジから、お前の兄貴は盗みをしても刑法39条によって刑務所に入らなくてもすむ、とそそのかされる。
タイトルにある“39(さんきゅー)”とは、心神喪失者の行為は罰しない、心身耗弱者の行為はその刑を軽減する、という刑法39条のことだ。
かくして、キヨタカ、ヒロシ、和代の泥棒行脚が始まる。

家に忍び込んで、物を盗ってくるのはキヨタカだが、価値のあるものを選択できるわけではない。
熊や犬の置物を持ってくるなどして、笑いを誘うが、翻って、キヨタカはこの仕事についてどのように感じているのだろうか。
風呂場で唱えるキヨタカの呪文は、盗みを強いるヒロシのセリフであり、過度な緊張感に苛まれていることは明らかだ。

押田監督は重喜劇の作風で知られる今村昌平監督の門下生である。
それゆえ筆者は、今村作品『“エロ事師たち”より 人類学入門』に二つの点でインスパイアされたのではないかと推察している。
一つは知的障害者がカメラの向こうで演技をするという課題。
もう一つは知的障害者を食い物にする輩が存在しているという事実。

受刑者の23%は知的障害者である(2005年)。
ヒロシに代表される発達障害者にまで広げればその数はさらに増す。
風俗産業にも和代に代表される知的障害者がいる。
本作から累犯障害者支援や障害者虐待防止の課題が見えてくる。

【医学書院『総合リハビリテーション』6月号「Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション」原稿】


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『39窃盗団』を観る5つのポイント
(1) 養育者亡き後の知的障害者・発達障害者
        (保護者・養育者亡き後の問題)
(2) 小悪人に利用され犯罪を重ねる発達障害者
        (累犯障害者の問題)
(3) 虐待を受け性風俗で働かされる知的障害者
        (障害者に対する虐待の問題)
(4) ホームレスになる知的障害者・発達障害者
        (ホームレス障害者の問題)
(5) おとなしいダウン症でさえ“怖い人”と捉える地域住民
        (障害理解の問題)

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