10/15〜16 恒例イベント “日本映画名作祭2015”を開催します。 (ver. 4) 【終了しました】
2015.08.18
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札幌映画サークルは、2015年10月15日(木)〜16日(金)の2日間、札幌市生涯学習総合センター“ちえりあホール”において、恒例になっている“日本映画名作祭2015”を開催し、日本映画の名作を上映します。
(すべて35mmプリントで上映 →一部音声トラックが劣化しています。お聴き苦しいことをご了承ください)
“溝口健二 × 山田五十鈴”
“成瀬巳喜男 × 高峰秀子”
“増村保造 × 若尾文子”
“山田洋次 × 倍賞千恵子”
“監督と女優との宿命的な出会いによって生み出された名作__。”というテーマで選択した作品4本を紹介します。
また、昨年に引き続き・・・楢部一視さんの講演会“名匠が描く愛のかたち 〜時にはこってりした女性描写を楽しもう”も両日開催します。
2015年の上映作品は・・・
☆ 『浪華悲歌』
(1936/溝口健二監督/第一映画)
☆ 『稲妻』
(1952/成瀬巳喜男監督/大映・東京)
☆ 『華岡青洲の妻』
(1967/増村保造監督/大映・京都)
☆ 『愛の讃歌』
(1967/山田洋次監督/松竹)
上映する各作品の紹介は、下記に掲載してある“日本映画名作祭2015 作品紹介・その1〜4”に掲載しています。
平成27年度優秀映画鑑賞推進事業 (第20回記念上映会)
“日本映画名作祭2015”
『 浪 華 悲 歌 』/『 稲 妻 』
/ 『 華 岡 青 洲 の 妻 』/『 愛 の 讃 歌 』
【会場】
札幌市生涯学習総合センター“ちえりあ”1Fホール
(札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10)
【上映時間】 開場時間は上映開始の各15〜20分前
10月15日(木)
11:00〜12:12 「浪華悲歌」
13:00〜14:27 「稲妻」
15:00〜16:00 “講演 楢部一視さん”
16:30〜18:09 「華岡青洲の妻」
18:30〜20:04 「愛の讃歌」
10月16日(金)
11:00〜12:39 「華岡青洲の妻」
13:00〜14:00 “講演 楢部一視さん”
14:20〜15:54 「愛の讃歌」
16:30〜17:42 「浪華悲歌」
18:20〜19:47 「稲妻」
【鑑賞料金】
1作品・・・500円
(1作品ごとの完全入替制→続けてご覧になる場合も一度退席していただきます)
【前売り券販売】
ちえりあ1Fメディアプラザ、大丸藤井、道新、教文の各プレイガイドで8/15より発売中!
(札幌映画サークルで予約も受付中→Tel・Fax・Eメール)
前売り券・当日券とも料金は同じですが、前売り券をお持ちの方の入場を優先とさせていただきます。 (お席は自由席です)
【主催】
優秀映画鑑賞推進事業実行委員会(財団法人・札幌市生涯学習振興財団、札幌映画サークル)、文化庁、東京国立近代美術館フィルムセンター
【後援】
札幌市、札幌市教育委員会
【特別協力】
(社)日本映画製作者連盟、全国興業生活衛生同業組合連合会
【協賛】
松竹ブロードキャスティング株式会社
【協力】
株式会社オーエムシー
【事務局】
(財)札幌市生涯学習振興財団(札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10 札幌市生涯学習総合センター1F Tel:011-671-3425)
【お問い合わせ】
札幌映画サークル (札幌市北区北6条西6丁目 第1山崎ビル1F)
Tel:011-747-7314
* 留守番電話対応のため折り返しご連絡します
【お願い】
“ちえりあ”には、公共交通機関をご利用の上、ご来場ください。また、ホール内が冷え込んでいる場合がありますので、暖かい服装でお越しくださるようお願いします。
当日券の発売もありますが、前売り入場券をお持ちの方を優先入場させていただきます。
満席の場合、入場券をお持ちの場合でも、ご入場いただけない場合がありますので、ご了承ください。
ご購入後の変更・返金は一切いたしません。
入場券の再発行はいたしません。
“日本映画名作祭2015 作品紹介その1” 『浪華悲歌』
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平成27年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2015”
☆ 『 浪 華 悲 歌 (なにわえれじい) 』 【1936年05月28日封切り】
1936年/第一映画/モノクロ/スタンダード/72分
溝口健二監督作品/原作・・・溝口健二/脚色・・・依田義賢/撮影・・・三木稔/照明・・・堀越田鶴郎/録音・・・加瀬久、水口保美/美術・・・久光五郎、木川義人、岸中勇次郎
出演・・・山田五十鈴(村井アヤ子)、梅村容子(惣之助夫人・すみ子)、大久保清子(医師夫人・さだ子)、志賀廼家弁慶(麻居惣之助)、進藤英太郎(株屋・藤野喜蔵)、原健作(麻居店員・西村進)、志村喬(刑事・峰岸五郎)、他
大阪の製薬会社で電話交換手として働くモダンガールのアヤ子(山田五十鈴)が、家族の経済的苦境を救うため、恋人がいるにもかかわらず、言い寄ってきた社長の囲われものとなるが・・・。
家族や恋人のために自己犠牲を行った末に、その自己犠牲が報われる物語がメロドラマだとすれば、この作品におけるアヤ子の自己犠牲的な行動は、最後まで報われることはない。
この作品の見どころは、男たちの欲望と卑劣さと弱さの餌食になって転落していくアヤ子の姿を、徹底的に冷ややかな視線で捉えた溝口健二の演出にあるだろう。
1930年に映画女優としてデビューした山田五十鈴は、この作品で厳しい溝口の演技要求に応えて大女優へと飛躍し、同じ年に再びコンビを組んだ『祇園の姉妹』と合わせて、二人の代表作をした。
* 1936年第13回キネマ旬報ベスト10 日本映画部門第3位
【上映時間】
10月15日(木) 11:00〜12:12
10月16日(金) 16:30〜17:42
“日本映画名作祭2015 作品紹介その2” 『稲妻』
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平成27年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2015”
☆ 『 稲 妻 』 【1952年10月09日封切り】
1952年/大映・東京/モノクロ/スタンダード/87分
成瀬巳喜男監督作品/原作・・・林芙美子/脚本・・・田中澄江/撮影・・・峰重義/照明・・・安藤真之助/録音・・・西井憲一/音楽・・・斎藤一郎/美術・・・仲美喜雄
出演・・・高峰秀子(小森清子)、三浦光子(屋代光子)、香川京子(国宗つぼみ)、村田知英子(清子の長姉・縫子)、根上淳(つぼみの兄・周三)、小沢栄太郎(パン屋・綱吉)、浦辺粂子(清子の母・おぜい)、他
それぞれ父親の違う四人の子供たち。母はそれをそのまま受け入れて暮らしているが、末っ子の清子(高峰秀子)は姉や兄たちの身勝手で無気力な生き方に生理的な嫌悪を抱いている。
山の手の世田谷で一人下宿生活を送っているのもそのためだ。
次女の光子(三浦光子)が飼っている子猫のように、弱々しい生きものとして周りの世話になりたくないのだ。
林芙美子の同名小説は1936年に発表されたもので、実母をモデルにしたものだと言われている。
監督の成瀬巳喜男は、戦前の松竹時代から林芙美子に関心を抱いていたが、映画化の機会をもてないままであった。
この作品は、『めし』(1951)に続く林文学の映画化である。
下町の庶民の姿をいたずらに劇化することなく、静かに見つめているところに特徴がある。
* 1952年第26回キネマ旬報ベスト10 日本映画部門第2位
【上映時間】
10月15日(木) 13:00〜14:27
10月16日(金) 18:20〜19:47
“日本映画名作祭2015 作品紹介その3” 『華岡青洲の妻』
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平成27年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2015”
☆ 『 華 岡 青 洲 の 妻 』 【1967年10月20日封切り】
1967年/大映・京都/モノクロ/シネマスコープ/99分
増村保造監督作品/原作・・・有吉佐和子/脚色・・・新藤兼人/企画・・・辻久一/撮影・・・小林節雄/照明・・・美間博/録音・・・大角正夫/音楽・・・林光/美術・・・西岡善信
出演・・・市川雷蔵(華岡青洲)、若尾文子(加恵)、高峰秀子(お継)、伊藤雄之助(直道)、渡辺美佐子(小陸)、浪花千栄子(加恵の乳母)、原千佐子(お勝)、伊達三郎(下村良庵)、他
有吉佐和子の同名原作を、新藤兼人の脚本を得て増村保蔵が映画化した作品。
日本初の麻酔薬の開発者として名高い、紀州の医師・華岡青洲をめぐる母と妻の葛藤を中心に描いている。
加恵は青洲の母・お継に憧れて21歳で華岡家の嫁となった。
京都で医学修行を積んでいた夫が帰国するのは3年後である。
やがて、加恵をさしおいて、なにくれとなく夫の世話を焼く姑は加恵のなかでライバルとなっていく。
嫁と姑のひそやかな対立をよそに、青洲はひたすら麻酔薬の研究に打ち込んでいった。
動物実験の段階を終えて、人体を用い効果を試すべきときがきた。その時、自ら実験台になることを申し出たのは二人の女、母と妻であった。
譲らない二人に、青洲は同じように薬を与えるのだったが・・・。
増村保蔵はこの映画化に熱心で、企画会議で永田雅一社長に訴えて製作許可を得た。
増村自身は、女の戦いを利用しつつ薬を完成させた華岡青洲に魅力を感じていたらしい。
* 1967年第41回キネマ旬報ベスト10 日本映画部門第5位
【上映時間】
10月15日(木) 16:30〜18:09
10月16日(金) 11:00〜12:39
“日本映画名作祭2015 作品紹介その4” 『愛の讃歌』
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平成27年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2015”
☆ 『 愛 の 讃 歌 』 【1967年04月29日封切り】
1967年/松竹/カラー/シネマスコープ/94分
山田洋次監督作品/原作・・・M・パニョール/脚本・・・山田洋次/製作・・・脇田茂/撮影・・・高羽哲夫/照明・・・青木好文/録音・・・小尾幸魚/音楽・・・山本直純/美術・・・梅田千代夫
出演・・・倍賞千恵子(立花春子)、中山仁(亀井竜太)、伴淳三郎(亀井千造)、有島一郎(吉永伊作)、千秋実(船長)、太宰久雄(備後屋)、渡辺篤(千家五平)、小沢正一(郵便屋)、北林谷栄(おりん)、他
フランスの劇作家、マルセル・パニョールの「ファニー」を翻案した作品。
舞台はマルセイユから瀬戸内の小さな島に置き換えられ、その豊かな自然を背景に、若い男女の恋の行方が綴られている。
遠くブラジルをめざす青年と故郷に残る娘の物語である。
二人をとりまく老人たちに、伴淳三郎や有島一郎、渡辺篤といった芸達者たちを配し、人情味たっぷりの世界が、おかしく、悲しく描き出されている。
平凡な恋、平凡な人の営みのなかにこそ、本当の喜びや悲しみがある__。
そこには、この翌々年から「寅さん」シリーズを生み出していく、山田洋次監督らしい姿勢が一貫していると言えよう。
【上映時間】
10月15日(木) 18:30〜20:04
10月16日(金) 14:20〜15:54
“平成27年度優秀映画鑑賞推進事業”について・・・
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優秀映画鑑賞推進事業とは、広く国民の皆様に優れた映画を鑑賞していただくとともに、映画保存への理解を深めていただくことを目的に、文化庁と東京国立近代美術館フィルムセンターが、日本各地の文化施設と連携・協力して、所蔵映画フィルムを全国の会場で巡回上映させる事業で、平成元年度から実施しております。
平成27年度は、昭和11年から平成5年にかけて製作されました日本映画の中から、映画史を代表する作品や多くの国民より好評を得た作品を選んで、各地で上映いたします。皆様には、スクリーンを通して映画芸術の原点となる映画の素晴らしさをご理解いただき、本事業が地域における上映活動や文化活動を活性化させる一助となることを期待しております。
平成27年度は、各プログラム4作品で構成されるA〜Yの25プログラムを全国194会場で上映します。
手頃な料金でご鑑賞いただけますので、この機会にぜひ会場に足をお運びください。
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1932年東京生まれ。
中学・高校・大学とも早稲田に学び、1948年、上野高校で発足した“映画之友友之会”の第1期生。
以後、淀川長治氏を人生の師と仰ぐ。
大学時代に雑誌『劇評』社に所属、三島由紀夫、戸板康二、津村英夫の各氏に学びました。
1955年松竹入社。京都・大船両撮影所でプロデューサー助手時代を経て、映画、テレビを通じ三浦綾子作品を多く担当しました。
その縁で1978年から札幌在住。
現在“アトリエ楢部”を主宰し、映画・演劇活動者の育成を支援しています。また、趣味の“文楽”、“歌舞伎”など伝統芸能の解説・普及に努めています。
『映画批評研究』津村会会員。
札幌映画サークル会員。