札幌映画サークルの活動報告を公開しています
“日本映画名作祭2005” その1 「夜の河」
2005.08.28
【このコラムは、札幌映画サークルの旧HPから移行した文章です】
☆ 『夜の河』 [1956年9月12日封切り]
1956年 / 大映・京都 / 104分 / カラー / スタンダード
吉村公三郎監督作品 / 原作・沢野久雄 / 脚本・田中澄江 / 撮影・宮川一夫
出演・・・山本富士子、上原謙、小野道子、市川和子、阿井美千子、川崎敬三、小沢栄太郎、東野英治郎、橘公子、山茶花究
* キネマ旬報1956年日本映画ベスト10・・・第2位
吉村公三郎監督は既に戦前の名作「暖流」(1939)で、従来の日本映画にはほとんど登場しなかったタイプの、主体的で理知的なヒロインを描いているが、山本富士子が演じる舟木きわも、その延長線上に位置する存在といえるだろう。舞台は伝説的な京染めの世界である。
カメラマンの宮川一夫が、当時の京都の景色を美しくとらえており、山本の魅力を引き出すために色彩をグレーに絞った効果も発揮されている。
愛する男の妻が病死。その死を待っていたかのような自分が許せない主人公。
そして自ら選んだ別れがくる。その一種決然とした生き方は、彼女が旧い世界の住人であることを感じさせない。“誇り高き女”であり、山本富士子は本作を契機にトップ・スターの道を歩み始めた。
なお、この当時は日本映画の色彩化への過渡期にあたり、吉村監督にとっても初めてのカラー作品、夜汽車の漆黒の窓を流れていくネオンサインなどに見られるように随所に色彩の工夫を見せている。
【上映時間】
9月28日(水) 13:00?14:45
9月29日(木) 18:30?20:15
9月30日(金) 10:20?12:05
[上記の写真説明]・・・
『夜の河』
(写真提供・・・文化庁/東京国立近代美術館フィルムセンター)