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“日本映画名作祭2005” その2 「五番町夕霧楼」
2005.08.27
【このコラムは、札幌映画サークルの旧HPから移行した文章です】


☆ 「五番町夕霧楼」 [1963年11月1日封切り]

1963年 / 東映・京都 / 137分 / カラー / シネマスコープ
田坂具隆監督作品 / 原作・水上勉 / 脚本・鈴木尚之、田坂具隆 / 撮影・飯村雅彦

出演・・・佐久間良子、河原崎長一郎、小暮美千代、進藤英太郎、宮口精二、丹阿弥谷津子、岩崎加根子、千秋実、岸輝子、千田是也、織田政雄、木村俊恵、赤木春恵

* キネマ旬報1963年日本映画ベスト10・・・第3位


田坂具隆監督は戦前からのキャリアを持つ名匠の一人であり、「路傍の石」、「五人の斥候兵」(ともに1938)などの名作で広く知られている。
地味ではあるが、堅実な作風はかねてから定評のあるところであるが、この作品においてもその長所を随所で認めることができるだろう。
遊郭の佇まいや内部の造りなど、物語の背景に対して、田坂監督ならではの配慮がなされており、表現に厚みをくわえている点も見逃すことはできない。
脚本家の鈴木尚之によれば、旦那と恋人のあいだで揺れる女の身体と心を描く官能的な場面の演出に先立ち、田坂は主演の佐久間良子に丁寧なメモ書きを与え、長く対話することで主人公の気持ちをすくいあげた演技指導をしたという。善良な遊郭の女将や娼妓といった設定は、この場合、意図的なものであり、そのことによって主人公、夕子の薄幸がより純粋に、観客に印象づけられるといえるだろう。
田坂には、同じ水上勉原作の映画化作品に「湖(うみ)の琴」(1966)がある。


【上映時間】
9月28日(水) 15:20?17:40
9月29日(木) 13:40?16:00
9月30日(金) 18:00?20:20


[上記の写真説明]・・・

『五番町夕霧楼』

(写真提供・・・文化庁/東京国立近代美術館フィルムセンター)

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