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活動報告の詳細
札幌映画サークル特別協力上映会 『記録映画 いのちの作法 沢内「生命行政」を継ぐ者たち』の開催 (ver. 5) 【終了しました】
2005.06.04
札幌映画サークルでは、2010年7月3日(土)、札幌エルプラザ(3Fホール)で開催される"映画「いのちの作法」札幌上映実行委員会"と"全国障害者問題研究会北海道支部"が主催する『いのちの作法 沢内「生命行政」を継ぐ者たち』の上映を特別協力上映会として取り組むことになりました。


昭和30年代、豪雪地帯の環境下、貧困などの問題もあり、岩手県沢内村の村民には多病多死が多かった。
そこで、当時の深沢晟雄旧村長は、"生命尊重の理念"を掲げ、保険、医療、福祉で全国で先進的な役割を果たしました。

町村合併により、国民の福祉行政が地域的にも脆弱化した現在も町はその理念を実行しています。

小池征人監督と一之瀬正史キャメラマンが"表現者"として、かけがえのない"いのち"のあり方に迫るドキュメンタリー。


『 い の ち の 作 法   沢 内 「 生 命 行 政 」 を 継 ぐ 者 た ち 』
*






















生命の尊重とは何か?
福祉社会とは何か?

地方行政の姿から、
日本のあるべき姿が、未来が見えてくる。


人間(ひと)らしく生きる。
人間(ひと)らしく輝く。
みちのくからのメッセージです。


日本初の老人医療費無料化や乳児死亡率ゼロの達成で名高い岩手県旧沢内村(現西和賀町)。

その"生命尊重の理念"は、今も西和賀町民の心に深く刻まれています。

本作品は、約6ヶ月間、西和賀町の人々に寄り添って撮影されました。

そこには、老人や障がい者。そして、虐待を受けた子どもたちに向き合う人々の姿が記録されています。


『 い の ち の 作 法   沢 内 「 生 命 行 政 」 を 継 ぐ 者 た ち 』

2007年 / 日本映画 / 小池征人監督作品 / カラー / スタンダード / 107分

製作総指揮・・・武重邦夫 / 企画・プロデューサー・・・都鳥拓也、都鳥伸也 / 監督・・・小池征人 / 撮影・・・一之瀬正史 / 録音・・・若林大介 / 編集・・・菊池純一 / 音楽・・・森拓治、長谷川光 / ナレーター・・・伊藤惣一 / 助監督・・・中越信輔 / Takeshigeスーパースタッフ・プログラム/センストン映画制作研究所製作


* 2008年第82回キネマ旬報ベスト10 文化映画部門第4位
* 2008年日本映画ペンクラブ会員選出ベスト5 文化映画部門第3位

上映日程
【会場】
札幌市エルプラザ 3Fホール(札幌市北区北8条西3丁目 札幌市男女共同参画センター)

【開催日時】 2010年7月3日(土) 開場時間は上映の各20分前 (4回上映)
  1) 10:30〜、 2) 13:30〜、 3) 16:00〜、 4) 18:30〜
(2回目と4回目は、字幕付きでの上映になります)    

【鑑賞料金】
  前売り(一般)    1,000円 (当日1,300円)
  シニア(60歳以上) 1,000円 (前売り・当日共)
  学生/障がい者     500円 (当日800円) *学生(小・中・高・大)
  (映画サークル会員→500円・・・6月号会報に同封した特別券を当日精算してください)

  ※市内主要プレイガイドで前売り券を発売中!


主催・・・映画「いのちの作法」札幌上映実行委員会、全国障害者問題研究会北海道支部
後援・・・札幌市・札幌市教育委員会

問い合わせ
080-3291-0300 (全障研道支部・携帯)
zensyo-ken.do-shibu@softbank.ne.jp

前売り券の販売・予約・受付
011-252-3828 (午前10時〜午後6時)

作品紹介 【国・地域・自分自身のあり方が見えてくる――】
報道などで明らかなように知的障害がある子どもや発達障害のある子どもが激増している。

文部科学省も一定の対策を講じている。

2007年4月、これまでの"特殊教育"を、対象枠の拡大を意味する"特別支援教育"へと移行させた。
特別支援教育コーディネーターの指名、特別支援教育支援員の配置、研修・啓発の取り組みによって、確かに特別な教育的支援を要する子どもたちの教育に関心がもたれるようになった。

しかし、事態の奸転は見られず、不登校の子どもや虐待を受ける子どもはなお増え続けている。
私が教育現場で特別支援教育コーディネーターとして活動していたときの実感は、これは負け戦だ、というもの。
支援を要する子どもたちの何人かを救えたとしても、手の届かないところには、多数の子どもが残っていたからだ。

どうすれば、負けが勝ちに転じるのか。
私は、昭和30年代回帰実践を展開するなら、支援を要する子どもたちの大部分を救えるかもしれないと考えたが、この時代にそんなことは不可能だ。
そう思っていた矢先、長編記録映画『いのちの作法 沢内「生命行政」を継ぐ者たち』(監督/小池征人)を見て、驚いた。
私にとっての夢物語の実践を、"全国・さわうちまるごと児童擁護施設事業"と称して、地域ぐるみでやっているではないか。

岩手県旧沢内村(現西和賀町)。昭和30年代に深沢村長のもと、日本で最初に老人医療費の無料化や乳児死亡率ゼロを達成したところである。
今、この地が不登校になった子どもたちのホームステイの場になっているのだ。

都会の養護施設で暮らす子どもたちが、家庭的なもてなしを受けるだけでなく、家事を手伝い、川遊びなど自然とのふれ合いを堪能し、狩猟や物作りに勤しむ。
まさに昭和30年代の子ども生活への回帰だ。
子どもたちには、それぞれ発達するに相応しい文化が与えられるべきだが、この地には、それを保障する大自然と、子どもたちに最良の記憶をプレゼントしようとする柔和な眼差しの大人がいるのだ。

本作は、旧沢内村の"生命尊重"という行政哲学を引き継いだ若者たちが、高齢者、障害者、発達に困難を抱える子どもたちを支えるという現代的課題に挑戦する世代継承の記録だ、そこにとどまらず、一人一人の行動と国のあり方を問うところに本質がある。

二通諭 (札幌映画サークル会員)


【"総合リハビリテーション"の2009年11月号に掲載されたものを転載した札幌映画サークル会報"シネアスト"から再転載しました】

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