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活動報告の詳細
恒例の“日本映画名作祭2011”を開催します。 (ver. 1) 【終了しました】
2011.08.11
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札幌映画サークルは、2011年11月27日(木)〜28日(金)の2日間、札幌市生涯学習総合センター“ちえりあ”1Fホールにおいて、恒例の“日本映画名作祭2011”を開催し、日本映画の名作を上映します。
(すべて35mmプリントで上映)


2011年は、“成瀬巳喜男監督特集”として、次の4本を上映します。
  ☆ 『めし』 (1951/東宝)
  ☆ 『おかあさん』 (1952/新東宝)
  ☆ 『浮雲』 (1955/東宝)
  ☆ 『乱れ雲』 (1967/東宝)


上映する各作品の紹介は、下記に掲載してある“日本映画名作祭2011 作品紹介・その1〜4”に掲載しています。


そして、札幌映画サークルでは、“日本映画名作祭2011 成瀬巳喜男介監督特集”の上映と共に、札幌在住の楢部一視(ならべかずし)さんによる“成瀬巳喜男監督作品を語る リアルな視線で描かれた やるせない女と男たち”と題した講演会も併せて開催します。
(入場券半券をお持ちの方は、無料で聴くことが出来ます)


上映日程
平成23年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2011 成瀬巳喜男監督特集”
『 め し 』/『お か あ さ ん 』/ 『 浮 雲 』/『 乱 れ 雲 』


【会場】
  札幌市生涯学習総合センター“ちえりあ”1Fホール
      (札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10)


【上映時間】 開場時間は上映開始の各15〜20分前
  10月27日(木)
     10:00〜11:37 「めし」
     12:30〜14:08 「おかあさん」
     14:30〜15:30 “楢部一視さんの講演会”
     16:00〜18:03 「浮雲」
     18:30〜20:18 「乱れ雲」

  10月28日(金)
     10:00〜11:48 「乱れ雲」
     12:40〜14:43 「浮雲」
     15:10〜16:10 “楢部一視さんの講演会”
     16:30〜18:08 「おかあさん」
     18:30〜20:07 「めし」


【楢部一視さんのプロフィル】
1932年東京生まれ。
中学・高校・大学とも早稲田に学び、1948年上野高校で発足した“映画之友友之会”の第1期生。以後、淀川長治氏を人生の師と仰ぐ。大学時代に雑誌『劇評』社に所属、三島由紀夫、戸板康二、津村英夫の各氏に学びました。
1955年松竹入社。京都・大船両撮影所でプロデューサー助手時代を経て、映画、テレビを通じ三浦綾子作品を多く担当しました。その縁で1978年から札幌在住。現在“アトリエ楢部”を主宰し、映画・演劇活動者の育成を支援しています。趣味は“文楽”。
『映画批評研究』津村会会員。札幌映画サークル会員。
昨年の“木下惠介監督特集”の講演に引き続き、本年も講師をお願いしました。


【鑑賞料金】
1作品・・・500円
(1作品ごとの完全入替制→続けてご覧になる場合も一度退席していただきます)

【前売り券販売】
ちえりあ1Fメディアプラザ、くすみ書房(大谷地)、大丸藤井、道新、4プラ、教文の各プレイガイドで発売中!
(札幌映画サークルで予約も受付中→Tel・Fax・Eメール)

前売り券・当日券とも料金は同じですが、前売り券をお持ちの方の入場を優先とさせていただきます。 (お席は自由席です)


【主催】
日本映画名作祭上映実行委員会・札幌映画サークル・(財)札幌市生涯学習振興財団・文化庁・東京国立近代美術館フィルムセンター


【お願い】
“ちえりあ”には、公共交通機関をご利用の上、ご来場ください。また、ホール内が冷え込んでいる場合がありますので、暖かい服装でお越しくださるようお願いします。

“日本映画名作祭2011 作品紹介その1” 『めし』
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平成23年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2011 成瀬巳喜男監督特集”

☆ 『 め し 』  【1951年(昭和26年)11月23日封切り】

1951年 / 東宝 / 97分 / モノクロ / スタンダード

成瀬巳喜男監督作品 / 原作・林芙美子 / 監修・川端康成 / 脚色・井手俊郎、田中澄江 / 製作・藤本真澄 / 撮影・玉井正夫 / 音楽・早坂文雄 / 美術・中古智

出演・・・上原謙(岡本初之輔)、原節子(妻・三千代)、島崎雪子(初之輔の姪・里子)、杉葉子(村田光子)、風見章子(富安せい子)、杉村春子(村田まつ)、花井蘭子(堂谷小芳)、二本柳寛(竹中一夫)、小林桂樹(村田信三)、大泉滉(谷口芳太郎)、山村聡(岡本隆一郎)、中北千枝子(山北けい子)、浦辺粂子(芳太郎の母)、滝花久子(竹中すみ、他


* キネマ旬報1951年日本映画ベスト10第2位


黒澤明、溝口健二、小津安二郎に続く“日本の四番目の巨匠”として、今や世界中の映画批評家から熱い視線を受けるに至った成瀬巳喜男監督の代表作に数えられる作品。
監督を“世界のナルセ”の地位に押し上げるに功のあったアメリカの映画批評家オーディ・ボックなどは、これを成瀬作品のなかでもっとも好きな作品と語っています。
結婚生活も5年が過ぎ、倦怠期を迎え始めた夫婦。そこに突然、夫の姪が転がり込んできたことから、単調だった二人の暮らしに思いもよらぬ波乱が生じはじめます。
美男美女の主演二人が、本作では、ともに中年にさしかかり、平凡で退屈な男と所帯やつれした女になったさまを、見事に好演しています。
原作は林芙美子による未完の新聞連載小説。その結末を含め、脚色を委ねられた田中澄江と井手俊郎の良質な叙情と煥発する才気とが美しく調和し、繊細極まりない成瀬の演出と玉井正夫の撮影のなかに開花しています。


【上映時間】
10月27日(木) 10:00〜11:37
10月28日(金) 18:30〜20:07

“日本映画名作祭2011 作品紹介その2” 『おかあさん』
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平成23年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2011 成瀬巳喜男監督特集”

☆ 『 お か あ さ ん 』  【1952年(昭和27年)6月12日封切り】

1952年 / 新東宝 / 98分 / モノクロ / スタンダード

成瀬巳喜男監督作品 / 原作・“森永母を讃える会”選定「全国児童綴方集」より / 脚本・水木洋子 / 製作・永島一朗 / 撮影・鈴木博 / 照明・佐藤快哉 / 録音・中井喜八郎 / 音楽・斉藤一郎 / 美術・加藤雅敏

出演・・・田中絹代(福原正子)、香川京子(長女・年子)、岡田英次(平井信二郎)、片山明彦(年子の弟・進)、加東大介(木村庄吉)、三島雅夫(正子の夫・良作)、中北千枝子(正子の妹・栗原則子)、三好栄子(年子のおばさん)、本間文子(信二郎の母・みの)、沢村貞子(小物屋・おせい)、他


* キネマ旬報1952年日本映画ベスト10第7位
* 2009年キネマ旬報 日本映画オールタイム・ベスト映画遺産200選出


この作品は当時、全国の小学生から募集した作文をまとめた「おかあさん」をもとに、女流脚本家の第一人者、水木洋子が脚本化したものです。
戦災で失ったクリーニング店をようやく再開したのもつかの間、夫は過労で病床に伏し、病弱な長男は息を引き取ってしまいました。
娘二人と幼い甥をかかえて懸命に働く母。そんな生活ぶりを長女の目を通して描いたこの作品は、日本映画のリアリズムの伝統を踏襲したものといえるでしょう。
淡々とした生活描写のなかで、母と店を手伝う昔の使用人との噂への反応や、密かに芽生える恋心など、思春期の少女の微妙な感情が、成瀬監督の丁寧で緻密なカットの積み重ねにより描かれ、独自の世界を築き上げています。
主演の大スター田中絹代がこの翌年、初めての監督作品『恋文』を演出することになった時、成瀬監督に指導を仰げと助言をしたのは、溝口と小津の両巨匠でした。
キネマ旬報ベストテン第7位。なお、同監督の『稲妻』も同年の第2位を獲得しています。


【上映時間】
10月27日(木) 12:30〜14:08
10月28日(金) 16:30〜18:08

“日本映画名作祭2011 作品紹介その3” 『浮雲』
平成23年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2011 成瀬巳喜男監督特集”

☆ 『 浮 雲 』  【1955年(昭和30年)1月15日封切り】

1955年 / 東宝 / 123分 / モノクロ / スタンダード

成瀬巳喜男監督作品 / 原作・林芙美子 / 脚色・水木洋子 / 製作・藤本真澄 / 撮影・玉井正夫 / 照明・石井長四郎 / 録音・下永尚 / 音楽・斉藤一郎 / 美術・中古智

出演・・・高峰秀子(幸田ゆき子)、森雅之(富岡兼吉)、岡田茉莉子(おせい)、山形勲(伊庭杉夫)、中北千枝子(兼吉の妻・邦子)、加東大介(向井清吉)、千石規子(屋久島の小母さん)、村上冬樹(仏印の所長)、大川平八郎(医者)、他


* キネマ旬報1955年日本映画ベスト10第1位
* 2009年キネマ旬報 日本映画オールタイム・ベスト映画遺産200 第3位


戦中から戦後まもなくスランプ状態にあった成瀬監督は、林芙美子原作の『めし』(1951)を映画化して再起のきっかけとしました。
その後、同原作者の『稲妻』(1952)、『妻』(1953)、『晩菊』(1954)や室生犀星の『あにいもうと』(1953)、川端康成の『山の音』(1954)の映画化に成功し、“文芸映画”、“女性映画”の第一人者と言われるようになりました。
この作品は、林文学の最晩年の長篇小説を映画化したもので、戦時中、勤務先の仏印で激しい恋に陥った一組の男女が、戦後の荒廃した日本でその不倫関係を断ち切れない様子を描いたものです。
あきらめても裏切られても離れられない二人のやるせなさは、なにかにすがりつかずには生きていけない人間の業の深さを描いた成瀬の代表作といえるでしょう。
微妙な心の揺れを表現した高峰秀子と森雅之の演技は敬服すべきものがあり、小津安二郎をして「オレにできないシャシンは、溝口の『祇園の姉妹』と成瀬の『浮雲』だ」と言わしめました。
キネマ旬報ベストテン第1位。


【上映時間】
10月27日(木) 16:00〜18:03
10月28日(金) 12:40〜14:43

“日本映画名作祭2011 作品紹介その4” 『乱れ雲』
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平成23年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2011 成瀬巳喜男監督特集”

☆ 『 乱 れ 雲 』  【1967年(昭和42年)11月18日封切り】

1967年 / 東宝 / 108分 / カラー / シネマスコープ

成瀬巳喜男監督作品 / 脚本・山田信夫 / 製作・藤本真澄 / 撮影・逢沢譲 / 照明・石井長四郎 / 録音・藤好昌生 / 音楽・武満徹 / 美術・中古智

出演・・・加山雄三(三島史郎)、司葉子(江田由美子)、森光子(四戸勝子)、浜美枝(常務の娘・淳子)、草笛光子(石川文子)、加東大介(林田勇三)、土屋嘉男(由美子の夫・宏)、藤木悠(石川)、中丸忠雄(藤原部長)、中村伸郎(竹内常務)、小栗一也(葛西所長)、他


* キネマ旬報1967年日本映画ベスト10第4位


事故とはいえ車で人をひき殺した青年商社マン、その事故のせいで突然エリート役人の夫を失った女。
この二人の微妙に揺れ動く心理を、成瀬巳喜男監督は淡々としたカットを積み重ねることで的確に描き出していきます。
普通ならば交わることのない二人の関係を、『憎いあンちくしょう』(1962)などで知られる山田信夫の緻密な脚本を得て、成瀬監督はそれぞれの心の葛藤にまでメスを入れた、内面のドラマへと昇華させていきました。
そこに横溢しているのは、あっという間に崩れていく人間の生のはかなさであり、死の匂いです。
東京から青森に舞台が移り、当初の深い憎しみが徐々に愛情に変わりはじめ、自らの理性と感情の相克に悩むという、難しい役柄を司葉子が好演し、彼女の代表作となりました。
映画がまだサイレントであった1930年に監督デビューし、その後、87本もの作品を世に送った巨匠・成瀬監督の遺作にふさわしい秀作です。


【上映時間】
10月27日(木) 18:30〜20:18
10月28日(金) 10:00〜11:48

“平成23年度優秀映画鑑賞推進事業”について・・・
文化庁と東京国立近代美術館フィルムセンターでは、広く国民の皆様に優れた映画を鑑賞していただくことを目的に、平成元年度から“優秀映画鑑賞推進事業”を実施しています。
2011年(平成23年)は、昭和12年から平成5年にかけて製作された日本映画の中から映画史を代表する作品や、多くの国民に好評を博した作品を選んで各地で上映します。映像芸術の原点としての映画の持つ素晴らしさをご理解いただき、これを機会に各地で名画鑑賞会のような組織づくりの機運が盛り上がり、スクリーンを通して映画を鑑賞する人口が増えていくことを期待します。

今年度の“優秀映画鑑賞推進事業”は、全国195会場(北海道は、札幌・千歳・滝川・砂川・厚岸の5会場)において25プログラムで実施されます。

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