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活動報告の詳細
“日本映画名作祭2008”を開催します。 (ver. 4) 【終了しました】
2008.09.03
【このコラムは、札幌映画サークルの旧HPから移行した文章です】


2008年10月31日(金)〜11月1日(土)の2日間、札幌市生涯学習総合センター“ちえりあ”1Fホールにおいて、恒例となっている“日本映画名作祭2008”を開催し、日本映画の名作を上映します。
(すべて35mmプリントで上映)


たくさんの方々のご来場、ありがとうございました。


2008年は、“溝口健二監督特集”として、次の4本を上映します。
    ☆ 『 西 鶴 一 代 女 』 (1952)
    ☆ 『 雨 月 物 語 』 (1953)
    ☆ 『 山 椒 大 夫 』 (1954)
    ☆ 『 近 松 物 語 』 (1954)


上映する各作品の紹介は、“日本映画名作祭2008 作品紹介・その1〜4”に掲載しています。


そして、札幌映画サークルでは、“日本映画名作祭2008 溝口健二監督特集”の上映と共に、札幌在住の楢部一視(ならべかずし)さんによる“溝口健二監督作品を語る 幻夢へのリアリズム”と題する講演会も併せて開催します。
(入場券半券をお持ちの方は無料で聴くことが出来ます)



平成20年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2008 溝口健二監督特集”
  『 西 鶴 一 代 女 』 / 『 雨 月 物 語 』 /  『山 椒 大 夫 』 / 『 近 松 物 語 』


【会場】
  札幌市生涯学習総合センター“ちえりあ”1Fホール
      (札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10)


【上映時間】 開場時間は上映開始の各15〜20分前
  10月31日(金)
     10:00〜12:17 「西鶴一代女」 
     13:00〜14:36 「雨月物語」  
     16:00〜18:04 「山椒大夫」    
     18:30〜20:13 「近松物語」   
  11月01日(土)
     10:00〜11:43 「近松物語」   
     12:30〜14:34 「山椒大夫」   
     16:00〜17:36 「雨月物語」   
     18:00〜20:17 「西鶴一代女」 


* 楢部一視(ならべかずし)さんの講演“溝口健二監督作品を語る 〜幻夢へのリアリズム”は、両日とも14:40〜15:40に開催します。

【楢部一視さんのプロフィル】
中学・高校・大学とも早稲田に学び、大学時代に雑誌『劇評』社に所属、三島由紀夫、戸板康二、津村英夫の各氏に教えを受けた。1948年上野高校で発足した“映画の友の友の会”第1期生。以後、淀川長治氏を人生の師と仰ぐ。1955年松竹入社。京都・大船両撮影所でプロデューサー畑を歩む。映画、テレビを通じ三浦綾子作品を多く手がけ、その縁で1978年から札幌在住。“アトリエ楢部”を主宰し、映画・演劇活動者の育成を支援している。『映画批評研究』津村会会員。



【鑑賞料金】
  1作品・・・500円
   (1作品ごとの完全入替制→続けてご覧になる場合も一度退席していただきます)

前売り券・当日券とも料金は同じですが、前売り券をお持ちの方の入場を優先とさせていただきます。
(お席は自由席です)


【主催】
日本映画名作祭上映実行委員会・札幌映画サークル・(財)札幌市生涯学習振興財団・文化庁・東京国立近代美術館フィルムセンター


“日本映画名作祭2008 作品紹介その1” 『西鶴一代女』 (ver. 2)
平成20年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2008 溝口健二監督特集”

☆ 『西鶴一代女』 [1952年4月17日封切り]

1952年 / 新東宝=児井プロ / 137分 / モノクロ / スタンダード

溝口健二監督作品 / 原作・井原西鶴 / 脚本・依田義賢 / 構成・溝口健二 / 製作・児井英生 / 監修・吉井勇 / 撮影・平野好美 / 照明・藤林甲 / 録音・神谷正和 / 音楽・斉藤一郎 / 美術・水谷浩

出演・・・田中絹代、山根寿子、三船敏郎、宇野重吉、菅井一郎、進藤英太郎、大泉滉、清水将夫、加東大介、松浦築枝、沢村貞子、他


* キネマ旬報1952年日本映画ベスト10第9位


原作は井原西鶴の「好色一代女」です。原作の女主人公は、生来の好色から数奇な男性遍歴を重ね、封建制度の下で自由奔放な性を謳歌する女性として描かれています。
映画化にあたって監督の溝口健二と脚本家の依田義賢は、女主人公の自己主張や被害者意識を極力排し、男性本位の都合で不思議な一生をたどってしまう女を、客観的に凝視する手法で描いています。
社会の底辺で生きる女は、ふと入ったお寺の五百羅漢を見ているうちに、過去に出会った男たちの顔を次々に思い浮かべます。そこで生まれた悲喜こもごもを静かに回想し終わると、女は何処ともなく闇の彼方へ去って行くのだった。
国内では“キネマ旬報”ベスト10の第9位だったが、「羅生門」(1950)がグランプリを得た翌年のヴェネチア国際映画祭で国際賞を受賞し、以後この作品は、「お春の一生」の題で日本映画を代表するようになり、フランスをはじめとする欧米各国で溝口監督は神格化されることになりました。


【上映時間】 開場時間は上映開始の20分前
  10月31日(金) 10:00〜12:17
  11月01日(土) 18:00〜20:17

“日本映画名作祭2008 作品紹介その2” 『雨月物語』 (ver. 2)
平成20年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2008 溝口健二監督特集”

☆ 『雨月物語』 [1953年3月26日封切り]

1953年 / 大映・京都 / 96分 / モノクロ / スタンダード

溝口健二監督作品 / 原作・上田秋成 / 脚色・川口松太郎、依田義賢 / 製作・永田雅一 / 撮影・宮川一夫 / 照明・岡本健一 / 録音・大谷巌 / 音楽・早坂文雄 / 美術・伊藤熹朔

出演・・・京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小沢栄太郎、青山杉作、羅門光三郎、香川良介、上田吉次郎、南部彰三、他


* キネマ旬報1953年日本映画ベスト10第3位


上田秋成の短篇「浅芽ケ宿」と「蛇性の淫」を原作に、欲望と幸福、戦争と平和といった、いつの時代にも通じる普遍的な主題を、戦国時代の2組の夫婦を通じて対照的に描いた作品ですが、ここにはリアリズムだけでは律しきれない溝口健二監督の美学が明瞭に表れています。
霧に覆われた湖を行く船や朽木屋敷の描写、森雅之扮する源十郎が故郷の家に帰ってからの場面などに、独特な様式美を感じ取ることができます。
この幻想性は溝口健二監督生来の資質の一つであり、戦前は、「日本橋」(1929)や「滝の白糸」(1933)など泉鏡花の作品を盛んに手掛けた事実もあります。
冷徹なリアリストを支えている柱が、洗練された美意識であることを如実に教えてくれる作品であり、やはり溝口監督は日本映画を代表する“美と残酷”の映画作家と言えます。
艶のある画面を作り出したカメラマン、宮川一夫の功績も見逃すことはできません。


【上映時間】 開場時間は上映開始の20分前
  10月31日(金) 13:00〜14:36
  11月01日(土) 16:00〜17:36

“日本映画名作祭2008 作品紹介その3” 『山椒大夫』 (ver. 2)
平成20年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2008 溝口健二監督特集”

☆ 『山椒大夫』 [1954年3月31日封切り]

1954年 / 大映・京都 / 124分 / モノクロ / スタンダード

溝口健二監督作品 / 原作・森鴎外 / 脚色・八尋不二、依田義賢 / 製作・永田雅一 / 撮影・宮川一夫 / 照明・岡本健一 / 録音・大谷巌 / 音楽・早坂文雄 / 美術・伊藤熹朔

出演・・・田中絹代、花柳喜章、香川京子、清水将夫、進藤英太郎、河野秋武、香川良介、三津田健、浪花千栄子、見明凡太郎、菅井一郎、小園蓉子、毛利菊枝、他


* キネマ旬報1954年日本映画ベスト10第9位


溝口健二監督が、森鴎外の短篇小説を原作に中世荘園の奴隷制度における悲劇をリアリスティックに描き、ヴェネチア国際映画祭で「雨月物語」に続く2年連続の受賞に輝いた力作です。
原作では、姉・安寿と弟・厨子王は子どものままであるが、映画では成人してからの二人に重点が置かれるとともに、香川京子、花柳喜章という配役から、安寿を妹、厨子王を兄と設定を変えています。そもそも八尋不二による脚色は原作に忠実なものでしたが、溝口監督の意向を受けた依田義賢が改定にあたり、奴隷制度や奴隷解放といった社会的側面が強調されるシナリオになったそうです。とはいうものの、佐渡に売られ盲目となった母・玉木を厨子王が捜し求めるという展開は、やはりこの監督特有の「母恋いもの」のモチーフと言えるでしょう。
宮川一夫の絶妙なカメラによる美しいシーンが随所に見られ、園乾いた画調には鬼気迫るものがあります。


【上映時間】 開場時間は上映開始の20分前
  10月31日(金) 16:00〜18:04
  11月01日(土) 12:30〜14:34

“日本映画名作祭2008 作品紹介その4” 『近松物語』 (ver. 2)
平成20年度優秀映画鑑賞推進事業
“日本映画名作祭2008 溝口健二監督特集”

☆ 『近松物語』 [1954年11月23日封切り]

1954年 / 大映・京都 / 103分 / モノクロ / スタンダード

溝口健二監督作品 / 原作・近松門左衛門 / 劇作・川口松太郎 / 脚本・依田義賢 / 製作・永田雅一 / 企画・辻久一 / 撮影・宮川一夫 / 照明・岡本健一 / 録音・大谷巌 / 音楽・早坂文雄 / 美術・水谷浩

出演・・・長谷川一夫、香川京子、南田洋子、進藤英太郎、小沢栄、菅井一郎、田中春男、石黒達也、浪花千栄子、他


* キネマ旬報1954年日本映画ベスト10第5位


1952年に「西鶴一代女」で世界的注目を浴びた溝口監督は、「雨月物語」と「山椒太夫」によって翌1953年、1954年と相次いでヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞しました。
日本の古典文学を題材にして秀作を発表し、独自の様式美をもって世界的名声を獲得した溝口は、今度は近松門左衛門の人形浄瑠璃「大経師昔暦」を映画化することになりました。
この原作は、歌舞伎では「おさん茂兵衛」として知られているが、それに井原西鶴の「好色五人女」から「おさん茂右衛門」の話を付け加えています。
商家に嫁いだ若妻が、わがままで好色な夫を諫めるために芝居を仕組むが、ちょっとしたはずみから使用人との不義密通の汚名を着せられ、のっぴきならぬ状況へ追い込まれてしまいます。しかし、二人はその逃避行の中で真実の愛に目覚め、捕まって処刑場におもむく彼らの表情は晴れ晴れとしたもので、その毅然とした態度は見物の人々を驚かせるのでした。


【上映時間】 開場時間は上映開始の20分前
  10月31日(金) 18:30〜20:13
  11月01日(土) 10:00〜11:43
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